かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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参院選、来月29日投票へ…国会12日間延長の方針
政府・与党は19日、今国会の23日までの会期を12日間延長し、7月5日までとする方針を固めた。
これに伴い、夏の参院選公職選挙法の規定により、当初の想定から1週間ずれ込んで7月12日公示、29日投開票となる。安倍首相は公務員制度改革関連法案などの重要法案を成立させて改革姿勢を示す考えで、強引な国会運営などを批判する野党側との対立が、参院選に向けて一段と激化しそうだ。
野党は「与党の都合で会期を延長することは認められない」と反発し、内閣不信任決議案の提出などを検討している。政府・与党には参院選日程に影響の出ない5日間の延長とする案もあったが、こうした状況を踏まえ、12日間の延長が必要だという判断を固めた。(6月19日、読売新聞)

どうなるのか心配していたので須賀、やっぱりずれ込む流れになりましたね。確かに国会の審議の中で少しでも多くの法案を通すことは重要なことで、会期の延長それ自体はそう悪いことではないと思います。しかし今回の場合は、それ以上に議会制民主主義制度の根幹をなす選挙を公平に行なうことを重視すべきなのではないでしょうか。
そもそもダールのポリアーキーの議論においては、自由で公正な選挙を定期的に行なうことが、ポリアーキーの重要な要件の一つになっています。この「定期的」というのは、選挙をいつ行なうかについて行政府の恣意を許さない、ということであって、この観点から衆議院解散*1の濫用*2についても批判がなされています。ですから、直前に迫った選挙を一週間先延ばしにするという判断は、衆院解散と同じくらい慎重であらねばなりませんし、どうしてもそうするというのなら政権のあり方に関わってくるくらいの重要性を持つ根拠が必要だと思います。
今回の先延ばしに関しては、年金問題での与党への逆風を和らげたいという思惑があるのでは、といった話がまことしやかに流れています。まぁまんざら嘘でもないのかもしれませんが、それが事実であろうとなかろうと、今度の公務員制度改革法案が、制度としての民主主義を担保する原則を曲げてまで今国会で成立させるべき法案であるとは私にはあまり思えないわけです。

*1:そもそも内閣が不信任案を提出されないまま衆議院を解散することの是非について、憲法学において議論がなされた時期もありました。

*2:よく景気のいいときに解散総選挙、って言いますよね