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取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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解散政局/「近いうち」は「今年のうち」?

いつ解散?「近いうち」に様々な解釈
衆議院の解散について、8日の朝、野田首相は「近い将来」と言っていて自民党の谷垣総裁は怒っていたのですが、夜は「近いうちに」と、「将来」が「うちに」という表現が変わったら自民党の谷垣さんは納得したということで、自民党による不信任案提出の危機を脱したということです。この「近いうちに解散」というのは実際いつなんでしょうか。永田町では様々な解釈が飛び交いました。
近いうちとはいつなのか。
「『近いうちに飯を食おう』と言ったら、大体それはもう普通だったら、2週間かそこらが普通の間で食うのが社会常識というものだと思う」(自民党麻生太郎元首相)
食事の誘いに例えた麻生元総理に対し、直接的な表現で解散時期を指摘したのは・・・
「『近いうち』というのはこの国会中と受け取るのがごく自然な受け止め方だ」(自民党町村信孝官房長官
自民党からは今の国会の会期内、つまり、9月8日までの解散だという声が相次ぎました。9日の朝の役員会では、大島副総裁が「新たな戦いが始まる」と語り、一体改革関連法案の成立後、野田政権を早期解散に追い込む姿勢を強める考えを示しました。
「野田政権とは法案成立後、厳しく対峙をしていきます。不誠実な政党であることは明らか」(自民党石原伸晃幹事長)
ただ、こうした執行部の声とは裏腹に、確約がとれなかった以上、結局、解散は秋の臨時国会にずれ込むのでは、という冷ややかな見方も党内にあり、その場合、9月の総裁選に向け「谷垣おろし」の動きが広がる可能性があります。
「総裁はだまされているとしか思えないですよ」(自民・若手議員)
総理は、「近いうちに信を問う」という約束を守るのでしょうか。
「(Q.野田首相は『近いうち』と約束した場合、履行するか?)約束は守る人ですね」(藤村修官房長官
一方、早い時期の解散に警戒感が強い民主党内では、動揺も走っています。そのせいか、幹部からは解散について後ろ向きな発言も・・・
「すぐ解散ができる状況ではないでしょう」(民主党輿石東幹事長)
さらに輿石氏は、代表選や総裁選で党首が代わっても合意は有効なのかという質問に「そういうことはないでしょう」と断りながらも、次のように答えました。
「(党首の)2人がいなくなったんだから、2人の話は終わりでしょう」(民主党輿石東幹事長)
「それ以上でも、それ以下でもない。文字どおりに受け止めていただくだけだ」(野田首相
9日に長崎を訪れていた野田総理は、「近いうち」について8日と同じ言葉を繰り返しました。
(8月9日、TBS)

「近いうちに信を問う」。その言葉でお互い望まない局面を当面打開できた民自公で須賀、私が思うに、これはそこまで「近いうち」ではないような気がします。ごく簡単に。
「解散できる状況ではないでしょ? だって、衆院選挙制度改革はどうなるの? 違憲状態で解散をやるの? 特例公債法案はどうするの?」
これは輿石幹事長の言葉だそうです。多分に、と言うより思惑プンプンの発言で須賀、単刀直入に言えば、私が解散はすぐにはない、と思う理由はこの言葉に尽きます。まず前者については、「10月には財源が枯渇する」なんて話が政権側から出ているようで須賀、その主張がある程度の形で反証されない限りは、「選挙やってるうちにお金がなくなっちゃった!」なんて事態を避けるため、選挙結果がどうなるにせよ*1、解散前にやっておかねばということになろうかと思います。
後者は、一票の格差の「違憲状態」を解消しないで選挙をやっても、「選挙無効」なんてことになりはしませんか、ということです。たとえ現在ミニマムの案とみなされている「0増5減」が成立したとしても、区割り変更を伴う以上、3カ月とも6カ月ともいう有権者への周知期間が必要ともされます(期間がどうあれ、有権者側からも立候補予定者側からも、周知期間が必要ないということにはならないでしょう)。これは、違憲状態を無視して正面突破するという選択肢を避けるなら、少なくとも数カ月は総選挙ができないことを意味します。
この程度のことを、自公が分かっていないということはないと思うのです。昨日の会談後の話を真に受けるのなら、「近いうちに国民の信を問う」は特定の時期を指示する言葉ではなく、消費税法案の可決後も、「公債特例法案をどういう形で通すか」「一票の格差是正をどのように行うか*2」という課題を言わばダシにして、「いつ総選挙を行うか」という彼らにとって最重要と思われる事柄についての駆け引きが続くことになるのではないでしょうか。それこそ、このレトリックはお互い(特に自民党)の反主流派を慰撫するためのもので、実はこの二つの取り扱いを含む密約が交わされた、とかでもない限りは、解散政局という大構造は変わっていないのだと思います。
こうして政策がないがしろにされていく…というのは近頃よく聞く政治批判の物言いで須賀、代議制民主主義の根幹をなす選挙制度がこんなことで転がされていくのは(ままあるにせよ)率直に言って見るに堪えない。

*1:現実論としてこれを全く成立させないというのは難しいんじゃないんでしょうか?

*2:=いつ「違憲状態」を解消して解散権を「解禁」するか