かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『学習まんが日本の歴史』(小学館版)

【目次】

 

懐かしのシリーズの全面改訂版

上の子から借りて通読しました。

私自身、小学生の頃に(同じ小学館版の)前作を愛読しており、休みの日に1巻から読み通す遊びをよくやっていました*1

良くも悪くも、個々の人間たちがその時の価値観にそれなりに影響を受けながらしでかしてきたことの積み重ねに過ぎない歴史を、暗記すべき事項の集合体としてでなくストーリーとして描いてくれるこのシリーズは、非常に優れた歴史教材だと思っています。現金なことを言うと、最近よく売り文句になっているように、これらの内容が頭に入っていれば大学入試の論述試験も全く難しくない、というのが私の経験です。そんなシリーズが全面改訂されたと聞き、今度は2カ月かけて読み通してみました。

実質的に別モノ

もちろん個別の描写を詳細には論じられませんが、全体として本当に全面的に改訂されています。基本的には別モノと捉えた方がよいくらいです。もちろん前作から絵のタッチも変わっていますし、何巻かごとに漫画家が替わっていく(=巻をまたいで登場するような重要人物ほど、全く異なる風貌で現れるケースが増える)のにも、個人的には違和感がありました。

近現代史も古代史も

間違いなく最大の特徴は、近現代史の充実でしょう。20世紀の生まれとはいえ、自分の生まれた年が19巻で扱われていたのは若干ショックでした(笑) また、歴史的評価が定まっていると言い難いそうした時代を報道ベースで(架空のテレビ局や記者を登場させて)紹介する手法も、やむを得ない工夫ということなのでしょう。

ただ、詳細なのは後半だけではなく、全部読むのは大変なくらい多くの背景説明や注がなされているのは全巻通じてですし、古代の政治を東アジアの国際情勢と絡めて論じていたのも特徴的でした。

読めば読むほど気付きのあるシリーズだろうと思いますので、息子にもぜひスルメのように楽しんでほしいと願っています。

 

*1:大抵ギリギリ読み終わらない