かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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議事妨害と強行採決追記

一つ書き忘れていた論点があるので手短に。両方必ずしもダメではないけど、世論の支持がないとね、という話をしましたが、日本国憲法は両者を要請するもののバランスについて、一定の見解を示しているという考え方は可能だと思います。
法学の世界では「静的安定」「動的安定」というようなコンセプトで言われたりもしたように思いま須賀、動かずに同じ状態でいた方が安定するという考え方と、状況に対応してスムーズに変わっていった方がむしろ安定するという考え方があり、それらはどちらが正しいとか好き嫌いとかいうことでなく、問題となっている事柄によってそれぞれ分けて検討しましょうという議論がなされてきています。
日本国憲法では、59〜61、67条あたりに書いてあるので須賀、予算や条約、首相指名について衆参の意見が合わなかったりした場合、衆議院の決定が国会の決定になるよう規定されています。これらは決めないで放ってはおくわけにはいかない、スムーズに決まっていく方が安定するという判断なのでしょう。ただ逆に言うと、それ以外のものでは衆議院の優越は認められていない。今話題の「60日ルール」はありま須賀、どちらが強い規定かは明らかです。これは、日本国憲法は首相指名などより一般の法案について、より静的安定性を重視しているー法律がどんどん変わっていくことより、行き過ぎをとどめてじっくり議論することの意義を認めている、と言えると思います。むしろそっちが一般規定なんですけどね。
だから日本国憲法強行採決より議事妨害が好ましいと考えているのだ!と主張するのはあまりに牽強付会ですけれども、「決まりすぎる政治」のリスクを恐れ、それを抑制する仕組みになっていることはお忘れなく。