中東デモ、イランとバーレーンで計２人死亡
【テヘラン＝久保健一、エルサレム＝加藤賢治】イランの保守系ファルス通信によると、首都テヘラン中心部で１４日、改革派支持者がエジプトの反体制派への連帯表明を名目に行ったデモで１人が死亡した。
バーレーンでも同日、民主化要求デモで死者１人が出ており、チュニジアとエジプトの長期政権を退陣に追い込んだ反政府デモは中東各国で激化の兆しを見せている。
ファルス通信によると、イランの首都テヘランで行われたデモの際、沿道で見物していた人が、反体制派による銃撃で死亡した。
改革派系ニュースサイト「カラメ」は、デモ参加者数百人が治安当局に逮捕されたと伝えたが、死傷者には触れていない。
改革派のデモは当初、テヘラン中心部の目抜き道路約７キロを行進する計画だったが、治安部隊が催涙ガスなどを用いて阻止した。しかし、ＡＰ通信によると、デモ行進の目的地に指定されたアザディ（自由）広場付近では１万人以上が集結したほか、市内各地で改革派支持者が「独裁者に死を」などと叫んで気勢を上げた。デモは、中部イスファハンなど地方都市でもあった。
(2月15日、読売新聞)
中東 イランなど各地で反政府デモ エジプトに触発され
【カイロ鵜塚健、エルサレム花岡洋二】長期独裁政権を打倒したエジプト政変に触発された反政府デモが１４日、周辺の中東諸国に拡大し、現地からの報道によると、イランとバーレーンで参加者１人がそれぞれ死亡した。イランの大規模デモはエジプト政変後初めて。また、イエメンでは４日連続でデモがあり、警官隊と衝突する事態になっている。
イランの首都テヘランでは１４日、アフマディネジャド政権に反発する市民ら数千人がデモ行進。ファルス通信によると「扇動者」の発砲で市民１人が死亡、多数が負傷した。治安部隊が催涙弾などでデモ隊に応酬し数十人を拘束している模様だ。市民の死亡を「扇動者」の発砲とすることで、政府は治安部隊側が撃ったのではないと主張したものとみられる。
デモは、保守派のアフマディネジャド大統領に反発する改革派のムサビ元首相やカルビ元国会議長が呼びかけていた。若者らが「独裁者に死を」などのスローガンを掲げてテヘラン市内を行進し、治安部隊が催涙弾を発射したり、棒で殴るなどして抑え込んだ。この日、中部イスファハン、南部シラーズでも同様のデモがあった。ムサビ氏らは「（反政府デモを展開した）エジプトやチュニジア国民を支持する」という名目でデモ許可を治安当局に事前申請していた。これに対し、当局は反政府デモに転化するのを恐れ、この数日間でデモ計画の関係者を相次いで逮捕しムサビ氏を自宅軟禁状態にした。
一方、ペルシャ湾の島国バーレーンの首都マナマと周辺の町村でも大規模な民主化要求デモがあり、１０００人以上が参加。警官隊が催涙弾やゴム弾を発砲して強制的に解散させた結果、参加者２人が死亡した。ロイター通信が伝えた。
デモは０２年に改正憲法が公布された記念日に合わせ、インターネット交流サイト「フェースブック」などで呼びかけられた。バーレーンは立憲君主制。ハマド国王らイスラム教スンニ派による支配に、人口の約７割を占めるシーア派住民は不満を募らせている。今回も主にシーア派住民が宗派間の平等や、議会の権限強化などの民主化を要求した。
さらに、イエメンの首都サヌアでは、南北イエメン統一（９０年）以来、大統領職にあるサレハ氏の即時退陣を求める４日連続のデモが発生し、学生や弁護士ら数千人が参加した。
(2月15日、毎日新聞)
「ついに」と言うべきなのかも知れませんが、イランでも反政府デモが活発化してきたようです。
アフマディネジャド大統領らは、エジプトの民衆革命は1979年にイスラーム革命を経験したイランに続くものとみなし、これを評価するスタンスをとってきました。それを逆手にとる形の「改革派支持者がエジプトの反体制派への連帯表明を名目に行ったデモ」が、ついに治安当局との衝突に発展しつつあるということでしょう。
2009年には、twitterなどを活用しての反政府デモがありました。今後どうなっていくのかという関心もありま須賀、記事で挙がっているテヘラン、エスファハーン、シーラーズというのはすべて昨年の夏に滞在した町でもあります。正直言って「どうなっていくのか」という興味よりも「どうなっているのか」「(あの美しい場所と親切な人たちが)どうなってしまうのか」という心配の方が大きい私は、先ほどあわててエスファハーンの友人にメールを送ってみました。そもそもこの情勢下で届くかどうかも確証があるわけではありませんが、もし返事がもらえたら、先方への迷惑と差し障りのない範囲でご紹介できたらとも思っています。
*1:写真はアザディ広場にあるアザディタワー(2010年8月)
