13日間―キューバ危機回顧録 (中公文庫BIBLIO20世紀)
- 作者: ロバートケネディ,Robert F. Kennedy,毎日新聞社外信部
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/11/01
- メディア: 文庫
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読みながら特に感じたのは二つのことでした。一つは、アメリカ合衆国という国の指導者たちが帯びた倫理性です。「大国たるアメリカが小国キューバを奇襲攻撃し、無辜の市民を殺傷することがアメリカとして許されるのか?」 その問いは、海上封鎖の決定から米ソ間に妥結がなるまで、ことあるごとに大統領をはじめとするスタッフたちが念頭に置いてきたものでした。確かに多分に属人的な要素もあるので生姜、アメリカという国の時に過剰かつ異常な道義主義の一端を見た気がしました。
もう一つは、国連の果たした役割です。ロバートの書いた本編では不思議と触れられていませんが、付録の記録文書を読むと、この危機において国連が、もっと言えば事務総長代行だったウ・タントが、少なからずの役割を果たしていたことが理解できます。当然両者が安保理の常任理事国という立場にあったことも無関係ではないので生姜、米ソという二つの超大国が決定的に対立してしまった時、その間に立ちえた国連の存在というのはやはり大きいな、と実感させられました。
とまぁ、とても勉強になったわけですけど、不満な点もありました。まず日本語訳が堅すぎる。当時の毎日新聞の外信部が訳したそうで須賀、ほぼ直訳で全くこなれていなくって、日本語として非常に読みにくかったです。もう一つ、当時交わされた声明などの記録文書を載せてくれるのはありがたいんですけど、本文との続き具合が何らかの形で分かるようにしておいて欲しかったです。これは明らかに編集側の問題ですね。
*1:当たり前ですけどこれをもって教科書が悪いと言っているわけでは当然ありません