- 作者: 内田隆三
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/04
- メディア: 新書
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一昨日大学での全ての講義・試験が終わったから言うのではありませんが、私が4年間で受けてきた授業の中で一番面白かったのは、1年の冬学期に受けた著者の「現代社会論」でした。そこではこの本で言えばボードリヤール的な議論を交えながら、現代社会で起こっている諸現象についてひたすら脱線話をしていた*1のがとても面白く、試験以外(笑)全出席という恐らく4年間で唯一の偉業を成し遂げたのもよく覚えています。その意味では、この本はそっちのニーズに応えてくれるものではなかった*2ので須賀、そんなことを言っている私をたしなめるような内容がエピローグで述べられていたので、それを甘受する意味で引用してみようと思います。
眼前の問題ほど目立つものだし、気にもなり、しばしば何か重要な事柄を含んでいるように見えるものである。だが、歴史が教えているのは別のことである、本質的な問題はそんなに目移りするものではないからである。
春からのことを考えても示唆深いですね。その文脈でもう一つ、せっかくなので一番初めの部分からも引用させてください。
本質的な問いは、しばしばその答えを得るためというよりも、その問いの実質を深めるために存在している。
だから性急に「答え」を求めるな。あまり本質本質と言われるのは生理的には好きではないので須賀、何かこの二つの言葉に通底する慎重さと言うか、謙虚さというのは大事だと思ったので。こう考えてみると、実は前述の思想家より誰より、著者の言葉が心に残った気がします。