- 作者: 桜井英治
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/11/24
- メディア: 新書
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また著者は、そのように当時の贈与は特異な発展を遂げながらも、商売との境界線を超えることはなかった、と強調しています。そこが個人的にはしっくりこなかった点なので須賀、確かに私たちは贈与を論じているわけですけれども、その当事者たちが、著者が言うところの「贈与経済と市場経済の境界」を果たしてどこまで意識していたのかと言えるのでしょうか。その点については、あえて言う意味があるとはちょっとあまり思いませんでした。
それでも、先述したように非常に豊富で具体性に富んだエピソードがあちこちにちりばめられていますので、読んでいて飽きることはありませんでした。言ってしまえば、「贈与がどうのこうのなんて別にどうでもいいや」という人でも、歴史が好きなら十分楽しめる、そんな本だと思います。
*1:贈与に関する手落ちなども非常にドライに処置された