かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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社説21

5月3日付の朝日新聞に、「社説21」と題して今後の日本の国家戦略にかかわる21本の社説を掲載したことはご存じの方もいるかと思いま須賀、今日*1はそれについて実にさらっと感想を述べておこうと思います。
まずこうした試み自体を評価したいと思います。新聞が言論機関として存在しようとするなら、ある種の提言という形で自分たちが何を考えているのかを発信することが悪いとは決して思いませんし、今後のメディア状況を考慮するに、優れた分析や批評・提言のない新聞が生き残る方法がどのくらいあるのかも疑問です。こう言うと「中立公正であるべき新聞が自説のキャンペーンを張るとは何事か」といった反論をされる方もあるかもしれません。しかし社説を社の説として述べることのみによって中立公正が損なわれるとは思えません*2し、そもそもそういった主張をする人に往々として見られる「客観神話」というべきものは、マスメディアの構造論や認識論によってすでに否定されているものです。何でも福澤朗という人がTBSの番組で「朝日は高野連の問題を小さく扱うためにこんなことをしたんじゃないか」と冗談めかして言ったそうで須賀、まぁ冗談でしょうww ただそういう疑念を持った人が少なからずいるとするならば、朝日としても特待生問題の報道についてもう一度振り返ってみるべきです。
ということでこういった企画を組むことはよかったと思います。そして新戦略の提言という形をとる以上、長いスパンでの議論が中心になるのも仕方がないと思います。ただ目下の問題、特に朝日新聞であるからこそ具体的に語るべき問題のいくつかがおざなりにされているのはとても残念な気がしました。ちょっと時間がないので一例だけ挙げると、こんな感じです。

(石油・天然ガス備蓄の東アジアでの相互協力の枠組み作りを言ったあとで…)
共存共助の仕組みづくりは、地域協力を広げる格好の舞台になる。東シナ海での中国との権益争いなども、そんな取り組みの中で解決策を見出していく。

まぁそれは結構なんで須賀、それだけで済む話でしょうか?www 長期的な展望を語ることと、今ここにある問題についてお茶を濁すのとは別のことだと思います。そういった意味で、現在的な問題についてももうちょっと言及してほしかったな、というのが私の感想です。
あと二つ。一つ目の社説からほぼ全体を貫く理念として、「国際公益の世話役として地球貢献国家になるべき」ということが言われているので須賀、それがいかにして「民主主義という普遍的な理念実現の世話役として武力行使をも辞さない『世界の警察』」の二の轍を踏むことを避けるのかという点に少し不安を覚えました。てか今度ジョセフ・ナイが来るからって「ソフトパワー」って言いすぎですよねwww ナイは見に行きたいです。

*1:ちょっと前に読み終えてはいたので須賀、マリベルたんに萌え萌えしていたせいで今日まで放置していました。本当にすまない。

*2:逆にどんな社説を掲げてもいいってもんでもないと思いま須賀