かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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朝日、読売記事を盗用し謝罪
朝日新聞の1月30日夕刊に掲載された記事が、読売新聞の同月27日のホームページなどに掲載された記事と酷似していたことが、1日わかった。
朝日新聞社は「記事の大半が読売新聞の記事と重複していた」として盗用の事実を認め、同日、読売新聞社に謝罪した。2日の朝日新聞朝刊に、経過説明と読者に対するおわびの記事を掲載する。
朝日新聞社は1日、三浦昭彦・上席役員待遇編集担当らが記者会見。「ジャーナリストとして許されない行為で、関係者を厳正に処分する。読者の信頼を裏切ったことにおわび申し上げる」とした。
盗用されたのは、「YOMIURI ONLINE」と富山県版に27日に掲載された、県特産の「かんもち」作りを写真で紹介した記事。「黄、赤、緑など色とりどりの」という書き出しに対し、30日の朝日新聞夕刊社会面に掲載の記事は、「赤、黄、緑」と順番を入れ替え、それ以降も表現を一部簡略化しただけで、ほぼ全文が一致していた。
朝日新聞社によると、この記事は東京写真センター員で北陸・信越地方担当の丹羽敏通記者(46)(新潟総局駐在)が執筆。同記者は、「読売の記事を見て、自分の表現より優れていると思い、(記事を)直した。なぜしたのか自分でもわからない」などと話しているという。
朝日新聞社は先月31日にインターネットメディアからの指摘を受けて調査を開始。丹羽記者が盗用の事実を認めたため、1日付で東京本社管理本部付に異動させ、事実関係を公表した。同記者はカメラマンとして新潟総局駐在となった昨年4月以降、約10本の記事を書いており、同社は他の記事にも不正がなかったか調査するとしている。
(読売新聞、2月1日)

本紙記者が記事盗用 読売新聞のHPから
富山県立山町の特産品「かんもち」に関して、朝日新聞社が1月30日付夕刊(東京本社版)の社会面やインターネットのホームページ「アサヒ・コム」などに掲載した記事が、読売新聞の記事に酷似していることがわかりました。記事を書いた記者は本社の調査に対し、読売新聞のホームページに同月27日付で掲載された記事を参考にしたと説明し、「盗用」にあたると認めています。本社はこの記者を1日付で管理本部付としました。調査を尽くしたうえで、記者と関係者を厳正に処分します。
記事は最盛期を迎えたかんもち作りの様子をとらえた写真に付けられた約20行のものです。写真撮影、原稿執筆とも丹羽敏通・写真センター員(新潟駐在)が担当しました。丹羽センター員は84年に入社したカメラマンで46歳。06年4月に新潟総局の駐在になり、北陸・信越地方での写真取材をしていました。
ニュースサイト運営会社からの指摘で本社は調査を開始しました。丹羽センター員は1月29日にかんもちを生産している農事組合法人で、その様子を撮影。同日夜、いったん原稿を書いた後、読売の写真の図柄が気になってホームページを閲覧、記事の方も見て自分の原稿の表現を合わせた、としています。
同センター員は「自分の原稿を書き終えた後、読売新聞のホームページを見て表現がうまいなと思い、参考にして書き直した」と説明しています。
朝日新聞の記事
赤、黄、緑など色とりどりのもちを北アルプス立山連峰から吹き下ろす寒風にさらす「かんもち」作りが、富山県立山町で最盛期を迎えている。
富山湾特産のシロエビや昆布を練り込んだり、赤カブやクチナシなどで染めたりしたもちを短冊状に切り、ひもでつないで室内につるす。1カ月ほどさらすと豊かな風味が引き出されるという。(後略)
●読売新聞の記事
黄、赤、緑など色とりどりのもちのカーテンを北アルプス立山連峰からの寒風にさらす「かんもち」作りが、立山町で最盛期を迎えている。
富山湾特産のシロエビや昆布を練り込み、クチナシや赤カブなどで黄や赤に染めたもちを、長さ10センチ、幅4.5センチほどの短冊状に切り、ひもでつないで窓を開けた室内につるす。1か月ほど寒風で乾燥させると、もちの豊かな風味と色が引き出され、サクサクとした食感が生まれるという。(後略)
   ◇
朝日新聞社編集担当・三浦昭彦〉 季節の風物のスケッチ写真に添える文章を書いた記者が、読売新聞社のホームページを見て、情景描写などの表現を盗用していたことが分かりました。記者倫理に著しく反する行為であり、読者の皆さまの信頼を裏切ったこと、読売新聞社や関係者の皆さまにご迷惑をおかけしたことを深くおわびいたします。二度とこのような事態を招くことがないよう、早急に体制を立て直す所存です。(朝日新聞、2月1日)

いかなる類のニュースであれ、その真実性を記者自らの目で確かめ、また事実であると確信できる程度の裏取りをした上で記事にすべきであり、それを怠ったのみならず、他紙からの盗用によって記事を書いたというのはまさに論外と言わざるを得ず、とても残念に思います。「あるある」の捏造発覚によってマスメディア全体の信頼性が大きく損なわれているこの時期に、このような盗用事件が起こってしまったことは大きな問題で須賀、一方でその一挙手一投足が政権側からも、そしてネットを中心とする市民側からも注目されている朝日新聞で起こってしまったということは、今後より大きな波紋を広げることになるでしょう。
これを受けて編集担当の三浦氏は、「早急に体制を立て直す所存」と述べています。しかし厳しいことを言えば、それは2005年のいわゆる「虚偽メモ事件」の際にも幾度となく聞いたセリフです。確かにあの事件を一つの契機として、朝日新聞は様々な意識・制度改革に取り組んできました。私が昨年の8月に参加した「朝日ジャーナリスト学校」もそれと全く無関係ではないと理解しています。それでもこういうものは、やはり結果が伴わないと仕方がありません。
「何かをしない」という形で、即ち不作為によって信頼を回復することはそう容易なことではありませんが、これはジャーナリストとして最低限のマナーに関する問題です。社としてのチェック体制の強化や問題意識の共有はもちろんのことで須賀、何よりも記者一人ひとりの自覚を促したいものです。