朝日新聞記者である著者が、シンガポールとハノイの米朝首脳会談の舞台裏を報告した本です。内部統制が取れないままシンガポールでの「失地回復」に躍起になる米国、楽観的に過ぎて前のめりな韓国、そしてやはりリーダーが猪突猛進型の北朝鮮が、北朝鮮の核問題を巡りどのような(ちぐはぐな)外交を展開したかがリアルに活写されています。
特に米韓のちぐはぐさには、トランプ・文在寅両大統領の政治ショー的な手法が寄与していると著者は指摘します。複数国で歩調を合わせなければならない外交課題がある場合でも、リーダーが政治ショーを通じてそれぞれの国内世論の方を向いた振る舞いをすれば、それが叶うはずもありません。
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以前読んだ本の一番最後にこんなことが書かれていましたが、現状では「強い決意に基づき長期にわたって緩みなく」「政策の一貫性」を保っていくことは、現状では望むべくもないことなのかもしれません。
核開発を進める側は、強い決意を持って長い時間をかけて少しずつこれを進めていくのが常である。したがって、これを防ごうとする側にも、強い決意に基づき長期にわたって緩みなく核拡散防止のための措置を取っていくことが求められる。核拡散防止の観点からの政策の一貫性はとれているのか…
ちなみにこの本は、近所の図書館で借りて読んでみました。流石に本が増えてきたということもあり、長期的に手元に置かなくてもよさそうなものは借りて読もうという試みです。時事的な内容ならそれでいいかな、というのがこの本に関する判断だったので須賀、買っておいてもよかったかもしれないと思えるくらいの内容でした。
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