ぼくはこんな本を読んできた―立花式読書論、読書術、書斎論 (文春文庫)
- 作者: 立花隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1999/03/10
- メディア: 文庫
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ただ、中にある「<人類の知の総体>への挑戦」という文章で展開されている古典論はよくわからない部分もありました。その前にある「知的好奇心のすすめ」で、実用性だけにこだわらない、純粋知的欲求に基づく基礎科学研究の重要性を説いておきながら、いたずらに古典にとらわれずに現在の知のメインストリームにある最新レポートを読むべきと主張するのはどのくらい整合性がとれるのでしょうか? 当然彼も、古典は全く不要だと言っているわけではなく、自身がそうした古典を渉猟してきた話も出てくるわけなので須賀、「人間の知の営みの系統樹」で必ずしも現在の知につながっていないものや、系統樹の根っこに位置づけられている古典の「可能的様態」*1を探ることが果たしうる役割というのは、これまでの知に対するアンチテーゼが求められる危機の時代にこそあるように思うのです。
最後の読書日記は面白かったです。私が読んでいるようなものとは重なりませんが、あれこれ広いジャンルを紹介しているので、その気になれば小ネタ集めにも使えるかもしれません。それがいいかどうかは別として…
*1:メディアの可能的様態という言葉を久しぶりに思い出しました