かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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日本の現行法なら「公序良俗に反する」ってことになるのでしょうが…

ヴェニスの商人 (新潮文庫)

ヴェニスの商人 (新潮文庫)

かの有名なシェイクスピアのかの有名なヴェニスの商人です。人肉をカタに借金をし、案の定期限内に返せなくなってしまうくだりは実に印象的です。
本当はここで「ヴェニスの商人の倫理と資本主義の精神」というテーマでしゃべろうと思ったんで須賀、背景やらネタ本やら、自分で調べたり考えたりしようと思っていたことがことごとく解説で言われてしまっていてかなりやる気が失せてしまいました。岩井克人*1の「ヴェニスの商人資本論」は機会を見つけて読むにしても、やはりこれくらいの作品になると語りつくされているんだな、というのがよくわかります。
それでも忘れないでおきたいのは、これは演劇の台本だということです。ですから情景描写などの地の文はほとんどありませんし、物語のすべてのシーンが描かれているわけではない(観客&読者は、幕と幕の間の出来事を直接見られない)わけです。法廷で大どんでん返しを喰らったユダヤ人資産家・シャイロックが裁定を受け入れる「それでよろしゅうございます」というセリフが、どんな表情で、どんな声で発せられたのか、幕の間にどんなやり取りがあったのかなど、読む側は想像力をフルに働かせて読み進めねばなりませんよね。それがより一層、読む側を楽しませてくれた気がします。
最後に言うなら、グラシャーノーが一番好きですw

*1:ブーン