- 作者: シェイクスピア,福田恒存
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1967/11/01
- メディア: 文庫
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本当はここで「ヴェニスの商人の倫理と資本主義の精神」というテーマでしゃべろうと思ったんで須賀、背景やらネタ本やら、自分で調べたり考えたりしようと思っていたことがことごとく解説で言われてしまっていてかなりやる気が失せてしまいました。岩井克人*1の「ヴェニスの商人の資本論」は機会を見つけて読むにしても、やはりこれくらいの作品になると語りつくされているんだな、というのがよくわかります。
それでも忘れないでおきたいのは、これは演劇の台本だということです。ですから情景描写などの地の文はほとんどありませんし、物語のすべてのシーンが描かれているわけではない(観客&読者は、幕と幕の間の出来事を直接見られない)わけです。法廷で大どんでん返しを喰らったユダヤ人資産家・シャイロックが裁定を受け入れる「それでよろしゅうございます」というセリフが、どんな表情で、どんな声で発せられたのか、幕の間にどんなやり取りがあったのかなど、読む側は想像力をフルに働かせて読み進めねばなりませんよね。それがより一層、読む側を楽しませてくれた気がします。
最後に言うなら、グラシャーノーが一番好きですw
*1:ブーン