かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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小沢氏秘書、起訴事実は否認=弁護人「認める報道、異なる」−西松献金
小沢一郎民主党代表の資金管理団体陸山会」が西松建設から違法献金を受けたとされる事件で、会計責任者の公設第一秘書大久保隆規被告(47)=政治資金規正法違反罪で起訴=の弁護人が27日、「大久保被告が起訴事実について、大筋を認めている報道がなされているが、弁護人らの認識は全く異なっている」とするコメントを発表した。
関係者によると、同被告は逮捕当初から、「政治資金収支報告書の虚偽記入には当たらない」などと一貫して主張しており、起訴事実についても否定しているとみられる。
小沢氏は同被告が起訴された24日夜、記者会見し、「献金を受けた事実をそのまま報告し、相手方をそのまま記載するのが規正法の趣旨であると理解しており、その認識の差が起訴になったと思う」などと述べていた。(3月27日、時事通信)

この問題についてはいつかどのようにかして触れねばならんと思っていたので須賀、一番気になっている部分が出ていたのでこの機会に。これまでの話はというと、小沢代表の公設第一秘書が逮捕されたのち、検察側によるリークとみられる形で報道各社が嵐のような特ダネ合戦を展開*1し、秘書の起訴には至ったものの小沢代表は続投しています、とまぁこういうところです。その間一貫して秘書は容疑を否認している、と報道されてきたので須賀、起訴後に「一部容疑を認めている」という話が出た。上の記事はそれを弁護人が否定しました、というものです。
一番言いたいのは、「検察表に出ろ」ということです。もっとも起訴時点で地検は会見していますし、ジェラルド・カーティスが最近どこかの新聞に寄稿していた意味では表に出たといえるのかもしれませんが、やはりリークというのは無責任だろうと思うのです。そもそも捜査関係者への取材となると、強制捜査権を持つ捜査当局―任意で取材するしかない報道機関、という情報の非対称性が際立つことが多く、その上で検察幹部が、いわゆる「夜討ち朝駆け」をしにきた記者に都合のいいことだけ教えれば、その「小沢はこんなに悪いんだよ」情報がどでかく*2載ってしまうということが往々にしてあります。まぁそれは報道側にも大いに責任があるので須賀、まったくこの事件の取材をしていない私から見ても、その構造で特ダネ合戦が展開されていたんだな、と容易に想像がついてしまいます。
で、問題なのは秘書が何と供述しているか。「一部認める」の報道も関係者の話として報道されたもので、恐らくはこれまでの特ダネ合戦の流れの中の報道と思われるので須賀、これどこまでホントなんですかね? この「容疑を一部認める」という言い方も、どの一部をどう認めているのかよくわからないので私は大嫌いで、自分の書いた記事に使った覚えはないで須賀、それは置いておくにせよ、当の小沢代表が秘書の容疑を否定し、検察批判を展開している状況で、この話がどのくらい信用できるのかというのには当初から疑問を持っています。自分たちへの批判を避け、批判を強める小沢代表を追い込むため、記者にウソとは言わないまでも適当なことをしゃべったんじゃないか。しかし日本では、被疑者や被告人の供述を直接取材することはできないわけで、歯がゆいことに報道側としてはそれを直接確かめる方法はないわけです。その中で上のような記事が出てくると、もちろん弁護側も間接情報には違いないので須賀、「ほらほら、大丈夫??」と心配になってしまいます。
ついでに政局についてなので須賀、これは小沢さん「政権獲得が最重要」と言った手前、世論調査の結果を見て辞めざるを得ないんじゃないんでしょうか。やがて下るだろう裁判所の判断がどうあれ、彼の説明が拠って立つべき世論を納得させられていないわけですから。角栄時代からの検察との私怨、だなんてまさかそんなものにとらわれるお方ではあるまい。

*1:なので私は正直言って報道の内容はあまりわかりません

*2:マスコミ側としては、関係者取材による「特ダネ」なので