- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/06/20
- メディア: 新書
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私は今、この本に関してなにがしかの文章を書くことについて若干困惑しています。なぜなら、この本の少なからずの部分は同じ著者らによる『現代思想のパフォーマンス』と重複しているからであり、そして私もそれを見越してページを繰り出していたからです。ちょっと勉強し直そう、という時に、同じ本をもう一度読むよりはちょっとでも目先を変えてみようと思ったのです。その意味で、マルクスやヘーゲル、ニーチェ、サルトルといった人たちの思想との関連は、一つ新しい回路として意識できたでしょうか。
…といって何もしゃべらないのもなんなので一言。「私たちはある特殊なパラダイムの中に生きている」というのはすんなり受け入れられる考え方で須賀、その考え方すら「特殊なパラダイム」*1だと言われてしまうと、論理的には当然の帰結ながら自分が「無限ループ」の中に今いるんだということを実感させられます。ある意味「相対主義の相対化」のようなロジックで、突き詰めれば自らが世界を包括的に説明することを放棄する思想*2なわけです。そういう知的な謙虚さというか、全く別の思考方法と共存可能なあり方というのは個人的にもしっくりきますけどね…と無限ループの囚人が申しております。