かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『寝ながら学べる構造主義』(内田樹)

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

寝ながら学べる構造主義 ((文春新書))

「始祖」ソシュールから、「構造主義四銃士」たるフーコーロラン・バルトレヴィ・ストロースラカンらの思想を「寝ながら学べる」くらい平易に説明しようという本です。ラカンはさすがにちょっとというところはありま須賀、確かに寝ながら学べる程度には平易だと思います。
私は今、この本に関してなにがしかの文章を書くことについて若干困惑しています。なぜなら、この本の少なからずの部分は同じ著者らによる『現代思想のパフォーマンス』と重複しているからであり、そして私もそれを見越してページを繰り出していたからです。ちょっと勉強し直そう、という時に、同じ本をもう一度読むよりはちょっとでも目先を変えてみようと思ったのです。その意味で、マルクスヘーゲルニーチェサルトルといった人たちの思想との関連は、一つ新しい回路として意識できたでしょうか。
…といって何もしゃべらないのもなんなので一言。「私たちはある特殊なパラダイムの中に生きている」というのはすんなり受け入れられる考え方で須賀、その考え方すら「特殊なパラダイム*1だと言われてしまうと、論理的には当然の帰結ながら自分が「無限ループ」の中に今いるんだということを実感させられます。ある意味「相対主義の相対化」のようなロジックで、突き詰めれば自らが世界を包括的に説明することを放棄する思想*2なわけです。そういう知的な謙虚さというか、全く別の思考方法と共存可能なあり方というのは個人的にもしっくりきますけどね…と無限ループの囚人が申しております。

*1:筆者の言葉では「思考上の奇習」

*2:「その時代時代によってある特殊なパラダイムが支配しては変わっていくものだが、構造主義は例外だ」とか、「相対主義は絶対正しい」というような主張は矛盾してますものねw