かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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橋下・大阪府知事:首長グループ結成 20人前後参加
大阪府橋下徹知事は25日午前、東京都内で報道陣に「次の衆院選で応援する政党について態度表明していく。自分たちでグループを作ることになった」と述べ、地方分権を進める首長グループの結成を表明した。これに先立ち24日夜、都内で横浜市中田宏市長らと会談し、グループの結成を確認。近く予想される衆院解散の前後に発足させる考えで、総選挙への影響が注目される。
会談には、松山市中村時広市長、神奈川県開成町露木順一町長の計4人が出席。グループには20人前後が参加の見通しという。
関係者によると、グループは道州制を視野に、各党マニフェスト地方分権に関する政策に限定して評価を打ち出す方針だ。ただ、地方議会などの状況に配慮し、支持政党を統一はせず、表明は各首長の判断に任せることでも一致した。
グループのあり方について、橋下知事は25日、「大きくならないと政党は振り向いてくれない」と各首長への参加の打診を急ぐ考えを表明。また、宮崎県の東国原英夫知事にも参加を呼びかけたことを明らかにした。橋下知事は24日の記者会見で、支持政党の表明について「府民のためになるかどうかがポイントだ」と説明。「真の地方分権の実現のため、政治パワーを作る必要がある」として遊説活動に力を入れていた。
橋下知事は25日午後、都内で自民党中川秀直元幹事長に経緯を報告。中川氏が「連携してほしい」と持ち掛けたが、橋下知事は「マニフェストを見て判断する」と答えるにとどめた。【福田隆、田中博子、古谷秀綱】
(6月25日、毎日新聞)

先日の東国原知事の発言に続き、地方の首長からの政局への動きが活発化しています。一般論として大きい組織よりは小さい組織の方が変革しやすく、また首長の多くが無党派層などの支持による直接選挙で選ばれていることを考えれば、彼らがメディアを介した存在感と(「支持」というよりは)「人気」を背景として、言わば「雄藩連合」のような形で前面に躍り出るというのはそう驚くべきことでもないでしょう。そして全体の流れとすれば、それは歓迎できることだと思います。
その上で二つ感想を。一つ目は、これで困るのは自民よりむしろ民主だろうということです。彼らが今後どのくらい団結して行動するのか、どこを支持するのか(は本当にこれから決めるのか)、そもそも橋下知事らのグループと東国原知事がどのくらい連動して動いているのか…など未知数な要素はたくさんありま須賀、一つ言えることは、彼らは次の選挙を「地方分権選挙だ」と言っているということです。これはどんな意味かというとそのままなんで須賀、まずこれまでの政局では「自民vs民主の政権選択選挙」とみなされていたわけです。そこでドーンと「地方分権に賛成ですか、反対ですか」みたいな花火が打ちあがると、選挙におけるアジェンダがそちらに移ってしまう可能性がある。もちろん「地方分権に積極的な○○党中心の政権を選択します」というように、両者を複合させることは不自然でも何でもなく、むしろ真っ当なことですらあるので須賀、政権選択というアジェンダのもと、今の政権というよりは政治に対する不信感をてこに政権交代を訴える戦略の民主にとっては、下手をすると自民との間で「地方分権を掲げる首長グループへの忠誠競争」*1という「しなくてよかったハズの」競争に駆り出されるリスクが出てきてしまったと言えるのではないでしょうか。今後しばらくは、三者アジェンダ・セッティング能力がかなり問われるシーンが続くはずです。
もう一つは、テレビは東国原知事をどうするのか、ということです。このブログで言及しているのを発見できずに少し驚いたので須賀、彼が宮崎県知事に当選した後のテレビ(特に民放バラエティ)の扱いはあまりにもひどくて、とりあえず延々と「ゲスト・東国原宮崎県知事」をもてはやすみたいな番組がかなり目につきました。県知事としての活動を扱うものならまだしも、バラエティで呼んでひたすら知事の言うに任せるなんて、何の負い目があって宮崎県知事という権力者のプロパガンダをやっているのか、お前らホントに報道機関かと呆れ返っていたので須賀、事ここに至って深刻さの度合いも増してきたわけです。そりゃあ東京にあるキー局にとっては、東国原英夫は政治家ではなくタレントだったかもしれませんが*2、もしこれでホントに自民党の総裁として民主党と政権を争うなんてことになったら、今度こそ彼らは自分たちが朝鮮中央テレビを嗤えないようなことをやっていたことに気付くでしょうか?
いずれにせよ、今思い出しておきたいのは、4年前に選挙をシングル・イッシューでやって結果どうなったか、ということです。「(郵政選挙の結果で)わが党の安保政策についても支持されたはずである」という小泉発言が飛び出したのは、もちろん選挙後でした。

*1:少なくとも両党とも地方分権に反対とは言わないでしょうから

*2:それでもひどい話だが