「正体」ってあなたｗｗｗ

金正日の正体 (講談社現代新書)

今や「金正日死亡説」でおなじみの、と言うのが一番わかりやすいかもしれませんね。重村教授の最新刊です。
内容としては、彼が取材や研究で得た情報や判断から、将軍様の身に何かが起こっているのではないか、と示唆するというものです。情報の衝撃度や豊富さという点でいえばさすが重村さんと言うべきところなんでしょうが、彼が言うとおり「北朝鮮情報の九十パーセント以上が、意図的なガセネタ」なのだとするなら、その真偽についての検証は困難だと言わざるを得ないでしょう。取材源を守ろうとするのは自然なことですし、そもそも北朝鮮情報が絶対的に不足しているんですから、こればかりは彼の責めに帰すべきことでもないんでしょうけどね…　ただこういう場合にこそ、検証可能性を担保するためになるべく取材源を明らかにすることも必要なんだろうとふっと思いました。
そんなわけでその真偽については強く言えないにしても、北朝鮮をめぐる極めて興味深い情報を持っている、と評価できるとは思いますし、この本でも見られた北朝鮮「振り子外交」など、モデルを用いての分析にも的を射るものがあります。それでもこの人は、世界観というか見識というか、大きなところで信用できないというのが私の率直な感想です。「国際政治としての朝鮮半島問題を、歴史的、理論的視座から理解してもらいたかった」というお気持ちは結構なので須賀、ハンチントンを出した後に「北朝鮮は二十一世紀の歴史に乗り遅れようとしている。『二十一世紀文明との衝突』である」ってそりゃないでしょｗｗｗ