かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

人気お笑い芸人である太田光と、人類学者として*1これまた有名な中沢新一の両氏が、お互いのバックグラウンドから憲法9条の意義について論じた対談本です。ですから話の内容も、近年よく論じられているような「ハードな」憲法論ではなく、宮沢賢治やお笑いなどといった非常にユニークな視点からのアプローチが多くて興味深かったです。ただ読んでいて感じたのは、確かに彼らの発想や視点に共感したり感心したりした部分というのもあるんですけど、やっぱり9条礼賛の書を抜け出せなかったなというか、二人して憲法9条という芸術作品*2をまるで骨董品の鑑定士のように眺めて、「いいシゴトしてますねぇ」と愛でているような感覚から最後まで抜け出せなかったような気がします。まぁそれは二人とも覚悟の上で喋っていたようですし、またそういう本にこそ意義があるという言い方も可能だと思いますけどね。
あと太田光という人の感性は、やっぱりちょっと他の人とは違うのかなというか、これまた非常に楽しませてもらいました。てかそんなことを偉そうに言えるほど、彼の真に意味していたことを理解できたとも思っていませんがw ただ一方で、(少なくともこの本の中で)彼の言ってることってかなりその感性に寄りかかっているような印象があって、何か彼の感想文を読まされているような、悪く言えば"So what?"感を感じざるを得ませんでした。人のこと言えねぇだろって指摘は全くの正論ですけどねwww

*1:「として」なのかには留保がつくかもしれませんが…

*2:彼らはそうだと言うわけですけど