- 作者: 早坂隆
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2004/03
- メディア: 新書
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ジョークの内容は他愛のない笑い話から政治的な風刺まで多彩でしたが、他国への風刺を含んだジョークが多く扱われていたのはとても印象的でした。中には単にある民族集団のステレオタイプ化された国民性のイメージを揶揄するだけ、というものもありま須賀、あるジョークを持つ民族とそこでからかわれている民族との歴史的な関係性を深く投影するようなものも多くありました。例えばトルコの一休さん的存在である「ホジャさん」は、長きにわたってオスマントルコの支配下にあったブルガリアのジョークの中では一種の悪役を演じたりもしているわけです。
そういう例をこの本の中で見ていくと、オーラルなコミュニケーションというものの影響力はそう無視できるものではないということにも気付かされます。神話などの口承にも近いものがあるのでしょうか。それはともかくとしても、このオーラルコミュニケーションの存在感を含めて考えるなら、例えば教科書を変えても教育を変えても、そう簡単にある外国に対する世論が変わるものではないのではないかと考えてみる必要もあるように思います。
まぁカタイ話を抜きにしていうと、個人的には「紛争地のジョーク」より「独裁下のジョーク」の方がツボにくるものが多かったですね、スターリンネタとかww あるいはそれこそが私の興味関心のありよう*1、もっと言えば私という人間の人となりをよく表しているのかもしれませんが。
ちなみに同じ著者に『世界の日本人ジョーク集』という本もあります。