かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
ブログランキング・にほんブログ村へ

世界の紛争地ジョーク集 (中公新書ラクレ)

世界の紛争地ジョーク集 (中公新書ラクレ)

中近東、東欧を中心とした諸国のジョークを集めた本です。タイトルは「世界の紛争地ジョーク集」となっていま須賀、今現にドンパチがある、あるいはあった国というよりは、いわゆる先進国を除くユーラシアの国々がまんべんなく扱われている、といった感じでしょうか。
ジョークの内容は他愛のない笑い話から政治的な風刺まで多彩でしたが、他国への風刺を含んだジョークが多く扱われていたのはとても印象的でした。中には単にある民族集団のステレオタイプ化された国民性のイメージを揶揄するだけ、というものもありま須賀、あるジョークを持つ民族とそこでからかわれている民族との歴史的な関係性を深く投影するようなものも多くありました。例えばトルコの一休さん的存在である「ホジャさん」は、長きにわたってオスマントルコ支配下にあったブルガリアジョークの中では一種の悪役を演じたりもしているわけです。
そういう例をこの本の中で見ていくと、オーラルなコミュニケーションというものの影響力はそう無視できるものではないということにも気付かされます。神話などの口承にも近いものがあるのでしょうか。それはともかくとしても、このオーラルコミュニケーションの存在感を含めて考えるなら、例えば教科書を変えても教育を変えても、そう簡単にある外国に対する世論が変わるものではないのではないかと考えてみる必要もあるように思います。
まぁカタイ話を抜きにしていうと、個人的には「紛争地のジョーク」より「独裁下のジョーク」の方がツボにくるものが多かったですね、スターリンネタとかww あるいはそれこそが私の興味関心のありよう*1、もっと言えば私という人間の人となりをよく表しているのかもしれませんが。

何を笑うかで、その人間がわかる
       ――マルセル・パニョル*2

ちなみに同じ著者に『世界の日本人ジョーク集』という本もあります。

*1:何のことを示唆しているかお分かりですか?w

*2:フランスの劇作家だそうです