かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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現代心理学入門〈4〉社会心理学

現代心理学入門〈4〉社会心理学

門外漢にも程よい質・量を備えた社会心理学の教科書です。そもそも社会心理学という学問の対象が、社会の中での人々の相互作用のあり方、というなかなか広いものであるため、他の様々な学問と接点をを持ち、また用語の「翻訳」が可能であると感じました。例えば社会心理学で言うところの「社会的勢力」という概念は政治学における広義の権力概念そのものですし、「社会的手抜き」なる言葉もフリーライドと言い換えられ得るわけです。そしてもちろん、社会心理学の議論の中でマスコミュニケーション論も扱う。こうした隣接諸領域から社会心理学を眺め、その方法論や議論内容の異同を考えるアプローチも併用しながら、楽しく読むことができました。
ただここで展開されている議論の多くはモデル化されたものなんですよね。つり橋を渡った後に異性を見ると、錯誤帰属が起こってその異性がより魅力的に見える、と言っても、必ず全員がそう感じ、一定の反応を示すわけではありません。まぁ当然のことを言っているだけ*1のような気がしなくもありませんが(藁)、心理学の持つ影響力と魅力の大きさを鑑みれば、そこは一歩引いて、注意してみていくべきかなと思いました。
あと最後に質問です。この心理学の実験内容って具体的にどうやって決めるんですか? さっきの例で言えば、錯誤帰属の実験をするのに他でもない「つり橋」や「異性」を用いる必要性は何なのでしょうか? 確かにこの例ではそこまで不自然ではないので須賀、この本の中では明らかに不自然な、不必要に手の込んだ(ように見える)実験がいくつかあったので気になっています。確かにいくつかの心理的な現象が同時に起こってしまうような実験を避ける、という狙いはあるのでしょうが… 誰か詳しい方教えてください。。。

*1:それに社会心理学に限った話ではないですからねw