かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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ヨーロッパの政治―歴史政治学試論

ヨーロッパの政治―歴史政治学試論

歴史を政治学の視点から再構成する「歴史政治学」の立場から、近・現代のヨーロッパの政治を論じた本です。去年の講義の教科書だったので須賀、ちょっとした機会があったもので通して読んでみました。
これもまた重厚な本でして、17世紀イギリスのピューリタン革命から1939年のヒトラーポーランド侵攻までのヨーロッパの歴史を、地理的にもかなりまんべんなく追っています。その際、ただ歴史の教科書的な平らな叙述にとどまるというよりは、ダールのポリアーキーなどの概念を理論的枠組みとして援用しながら、政治的民主化という視角から歴史を眺めていたのが新鮮でもありました。もちろんそれは裏を返せば「この間のヨーロッパ史を政治的民主化の物語に仕立て上げている」ということでもあるのでしょうが、歴史を切り口なしで語ることは不可能でしょうし、私が読んだ限りではこの本は単線的政治発展論に基づくただの西欧的民主制度の礼賛書ではないと思いますので、一つの興味深い歴史の再構成の試みとみなすことができるのではないでしょうか。そしてその意味では、著者が冒頭で述べていた「歴史的経験の分析の中から、過度に抽象的でない、生きた政治学を構築する」目的は、おおむね果たされたのではないかという気がしています。…なんか偉そうなレビューで須賀このくらいでw
てか読むのに時間のかかった本って読み終わると達成感ありますねwww