かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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珍しくタイムリーに「東京原発」鑑賞

東京原発 [DVD]

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その名の通り、東京都心に持ち上がった原発計画と、秘密裏に行われつつあるプルトニウム燃料輸送を通じ、原子力エネルギーの安全性などについて問題提起した作品です。前半の都の幹部会議での議論が詳細かつ広汎で、率直に言ってその妥当性を検証することは、菅首相と違って原子力の問題に詳しくない私の手には余りますので、その点についての論評は避けます。その部分などに対する映画「東京原発」にみられる間違いのような批判もあります、とご紹介だけしておきます。
この映画の大きなテーマは、このようにリスクのある施設*1をお金と引き替えに特定の場所に置くことをどう考えるか、そして、そもそもそのことを首都圏に住む人たちがちゃんと考えているのか、ということでしょう。電力に限らずあらゆる分野で地方が首都圏の踏み台にされている、という見解までは私は採りませんが、今後原発の是非というものが議論されていくだろう中で、首都圏の住民が当事者意識を持ってそこに参加していくことが大事なんだろうと思います。
それにしても、原発必要悪なのでしょうか? 作品中で「東京原発」計画を推進するロジックは「必要な電気を作るため」であり、極論すれば「原発反対派は電気を使うな!」だった一方、「火力・水力はフル稼働しているわけではなく、原発がなくても必要電力は賄える」という趣旨のセリフもありました。今首都圏で話題の計画停電で須賀、わざとやっているというのは言い過ぎとしても、停電の不便さから電気のありがたみを輪番で広く体験してもらって、必要悪としての原発の存在を暗にアピールしようという思惑もあるのでは…というのは穿ちすぎでしょうか?

*1:この映画の内容が誤りや誇張を含んでいるとしても、今福島で起こっていることを見て「原発にリスクはない」と言い張ることできないはずです