かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
ブログランキング・にほんブログ村へ

硫化水素>車内で男性が自殺か 長野
6日午前5時半ごろ、長野市浅川東条の空き地で、同市内の新聞販売店主が「硫化水素充満中」と書かれた張り紙のある乗用車を発見し、110番した。警察官が駆けつけたが、車内の男性は既に死亡していた。薬品の容器があり、硫化水素が検出された。
県警長野中央署などによると、死亡したのは現場近くに住む無職の男性(40)。遺書などは見つかっていない。周辺の住民(4世帯19人)は一時、屋外の風上に避難した。【渡辺諒】
(5月6日、毎日新聞)

最近増えている硫化水素自殺についてです。上の引用は、これを書いている時点での硫化水素自殺に関するYahoo!ニュースの最新記事、でございまして、特に他意はありません(笑)
これについては個人的にもいくつか取材したので須賀、何か連鎖反応のように、そう広くはない自分の持ち場の中ですら「昨日はこっちで今日はあっち」といった頻度で起こり続けていることに、正直今でも戸惑っています。あたかも流行りモノを消費するように自殺が遂行されるというのが、実に不可解で恐ろしい。確かにそうも見えますし、その側面もあるというのは言えるのでしょう。
ただ、「辛くても生き抜いて」という類のメッセージを軽々と発することも、私にはできそうにありません。これは、そういう趣旨のことを言う人がすべからくモラリストぶっているだけだ、という意味ではありませんし、特定の誰かをそう非難したいわけでもありません。ただ私には、そこまで言う自信はない、虚心坦懐に「自殺は悪だ」と言い切ることはできない、それも正直な気持ちです。そこに至るまでにその人に何があったのか、どんな思いから、その日自殺を決意したのか。今の自分のように、そういったことに触らない状態であり続けるなら、答えは出ないのかもしれませんね。
ちなみに硫化水素自殺件数の増加について、その連鎖の原因を報道に求める見方があるようで須賀、っていうかその廉で一度私自身も責めを受けましたが、少なくとも報道が止めば事態は沈静化するという類の主張はあまりにもナーバスだと思いますね。具体的に何と何を使って硫化水素を発生させるのかについて、報道だけではわからないのはもちろんのこと、自殺希望者が集まるBBSのような場所での「集団自殺」的な現象の可能性など、精査すべきことは多いように思います。
『傘がない』は陽水らしい名曲だと思うので須賀、街で自殺者が増えているのを新聞の片隅に書かねばならないという今の私の立場も皮肉なものです…