蝮が去り、越前編に突入しました。
越前の朝倉義景は、将軍・足利義輝から「義」の字を与えられ、伊呂波太夫との話題にも出ていた側室を通じて近衛家と、さらには義輝(近衛家から正室を迎えています)と縁戚関係にあるという有力大名です。
とはいえ、この越前の栄華を支えていたのは彼ではなく、朝倉家の長老的な立ち位置にあった朝倉宗滴でした。この宗滴、応仁の乱の帰趨を決める寝返りをやってのけた朝倉孝景の子として生まれ、長きにわたり武勇を轟かせてきましたが、光秀が美濃から逃れることになる前年に死去。ドラマでは表現されていませんが、光秀が現れた時点で、大大名・朝倉家も斜陽の時代を迎えつつあったのでした。
そしてドラマとしては、伊呂波太夫と近衛家との関係が強く示唆されるシーンがありました。表情にも含みが出てきて、伊呂波太夫としても演じる尾野真千子さんとしても、いよいよ本領発揮といったところでしょうか。
信長による信勝への毒殺返しも、息を飲むシーンでしたね。帰蝶が金魚を眺めるシーンがその後に起こることを暗示していましたが、本音をうまく喋らせて、相手が持ってきた毒で相手を倒す。信長の見事な機転と言ってよいと思います。「信長公記」によると、信勝は信長の家臣に暗殺されたと書かれていま須賀、ドラマの筋書き通り、信勝の家臣であったはずの柴田勝家の密告があったとされています。また、信勝が毒を名水と偽ったところの「美濃の白山」は、史実でも信勝が信仰していた山だそうで、この辺の逸話の使い方が上手だなと思わされます。