在日コリアンの少女ジニが、朝鮮学校での出来事を振り返りながら「世界との不和」に向き合う物語です。ジニのキャラクターと相まってか、非常にテンポよく、彼女の葛藤や「革命」が描かれていきます。
(恐らくこれは小説の主題とはみなされないで生姜)私にとって印象的だったのは、やはりどんな部分社会にも多数派と少数派がいて、ある種のヒエラルキーが存在するのだろうということでした。
ジニは小学校時代、日本人の同級生に差別されることもありましたが、日本社会全体の中では少数派と言える朝鮮学校に進学後も、「朝鮮語のできない生徒」として少数派扱いを受けます。学校のあり方にも、日に日に疑問が募っていきます。でも、外部からはそんなことは勘案されず、やはり彼女は差別的言動の標的になってしまう。当たり前で須賀、「敵の敵は味方」のような単純な話ではないのです。
minor of minor などと言うと語弊があるかもしれませんが、その一筋縄ではいかない複雑さを鋭利にえぐった物語だなと感じました。なんか書きながら外山恒一が頭から離れなくなってしまいましたが、ネタバレを避けるべく(?)、短めの紹介とさせていただきます。