再読なので、ごく簡単に。
戦後日本の政治・外交というと、軽武装・経済重視のいわゆる「吉田路線」に言及することが多いでしょう。この本もその例から漏れていませんが、国際連合中心・自由主義諸国との協調・アジアの一員としての立場の堅持という、岸信介内閣の「外交三原則」をも主要な枠組みとして議論しています。もっとも、同様の原則を掲げたのは岸内閣だけではなく、手を替え品を替えながらも概ねその方針が継続したからこそ重視されたものと思われま須賀、アジア特に東南アジアとの関係には(その対米関係への影響などを含めて)力点を置いた説明がなされています。
その辺も含めて、ジャーナリズムとアカデミズムの整理の仕方の違いは感じましたね。それぞれの各論者のスタンスは当然無視できませんが、かつて「特定アジア」という言い方が(悪意的に)なされたことも思い出しますし、まさに60年安保、PKO協力法が当時どう論じられたかと、少なくともこの本ではどう評価されているかとの間の落差には大きなものがあります。
時を経た方が俯瞰的に見やすいことは間違いなさそうで須賀、後から「あれは杞憂だった」と言うだけでよいとも思いません。当時はどんな議論がなされ、どんな懸念が提出され、それは今のところどうなっているのかー。現代史はやはり評価が難しいで須賀、そこを丁寧にほぐしていくことが役割なのではないかと思いました。一般論的過ぎる感想かもしれませんけど…
ちなみにこちらが前回読んだ時のレビューです。
canarykanariiya.hatenadiary.jp
いつもありがとうございます。