かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『酒好き医師が教える 最高の飲み方』(葉石かおり)

酒好きのライターが同じく酒好きの医師たちに、飲酒と病気の関係や身体への負担が小さい飲酒法、あるいは飲酒が健康に良い影響を与える可能性などについて取材してまとめた本です。様々なシチュエーションや病気ごとに、どんな食べ物が効果的で、逆にどういう飲み方は避けるべきなのかがちゃんと説明されており、自分の飲み方や関心に合わせて知識を得ることができます。個人的には、二日酔いになりにくい方法はいくつか書いてあったのでよかったで須賀、尿酸値(痛風)のコーナーがないのは残念でした。
その一方で、この本全体を通じて何度も出てきたのは「適量」という言葉でした(当たり前か)。エタノール換算で1日20グラム程度だそうなので、ビールなら中瓶1本、日本酒は1合くらいという量です。ちょっとそれでは酔っ払いすらしない気がしま須賀、監修者の医師が言うように「飲酒は多くの病気のリスクになる反面、健康に良い可能性についてはエビデンスのレベルがまだ弱いことは否めない」のであって、この本に書かれている「一見明るい話」や、あるいは意外なほど肝機能に関わる数値が低い健康診断結果を免罪符にしていてはいけないと感じました。
でも飲む時には飲みたいわけで、ここでもう一度、監修者の言葉を借りるなら「『お酒』という健康リスクを選び、その楽しみを享受したい人にとっては、どの程度のリスクなら享受できるのかを考える」ことが重要であり、そのために助けになる本だと思います。この監修者は浅部伸一さんという方なので須賀、いいこと言いますね。あとがきで割とばっさり医師としての見解を述べていることで、飲み屋話のネタを超えて、本全体が引き締まっている気がします。