かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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個人的軋轢のみで政局を描いてしまうかもと心配/「西郷どん」第二十四話

第二十四回「地の果てにて」|NHK大河ドラマ『西郷どん』
徳之島に流された西郷吉之助は、奄美大島から訪ねてきた愛加那らとの再会を喜んだのもつかの間、今度は沖永良部島に流されます。そこでは狭い牢に閉じ込められて健康を害しま須賀、現地の役人・土持政照や流人・川口雪蓬に助けられ…
まず、沖永良部を地の果て呼ばわりするのは、沖永良部の人達に対して、またそれより南西の島々に住む人達に対してどういう印象を与えたでしょうか。いちゃもんをつけているように見えるかもしれませんが、こうした表現は「どこからどこまでが支配が及ぶ領域であるか」という認識と関わってきたものであり、大河ドラマは日本の公共放送の看板番組の一つですから、敢えてこういう言い方をする必要はなかったようにも思えます。
今回登場した土持政照は、現地の役人として吉之助を慕い、手を差し伸べる役どころでしたが、彼が流人を支援したのには別の理由もあったようです。彼は、薩摩藩士と沖永良部の島妻の間に生まれた子で、薩摩藩士である父は西郷家と親戚関係にある人物だったそうです。すると当然、吉之助と土持政照も親戚同士ということになりますので、彼が吉之助を助けようと奔走したのにはその辺の事情もあった、という言い方もされています。川口雪蓬とも今後長い付き合いになりそうで、やはり小さなコミュニティで苦楽を共にした仲間というのはお互いに信頼がおける、ということなのでしょうか。
今回は一橋慶喜vs島津久光の厳しいやり取りもハイライトでしたが、個人的にはここから討幕にいたるまでの動きが、こうした個人間の感情のもつれにのみ還元されていってしまったらどうしようと、そこがちょっと心配ではあります。