- 作者: 岡崎守恭
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/01/18
- メディア: 新書
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かつての政治記者の取材は時間的には過酷だが、面白かった。が、面白さとは裏腹で、スキルとしては何も残らない。残るのは「思い出」である。そこで、ある時から筆者は割り切って、政治家の人となりを知ることに取材の重点を置いてきた…
この引用の通り、田中角栄から中曽根康弘、宇野宗佑、森喜朗、鳩山由紀夫までの歴代総理や、金丸信、田中六助、加藤紘一はたまた山中貞則といった昭和から平成の自民党政治家たちの「思い出」を、元政治記者が語った本です。それぞれ味のある人物として描かれているのは、それだけ著者が彼ら取材対象者にに「食い込めていた」からでもあるのでしょう。
「それに比べて今の政治家は小粒だ」というのが著者の嘆きであるようですし、確かに私も同じような感慨を覚えざるを得ません*1。ただその一方で、記者なら味のある人物や有名政治家のそうした側面を見出したり、有権者ならそういう人物を選び、育てたりすることはできるはずです。国会がサラリーマン根性*2の数合わせ議員で埋め尽くされているより、多少動物園化していても、多様な人材が議論する場であった方がよいという前提に立つなら、この本を読んで「古き良き自民党」ノスタルジーに浸るより、現在の政治や政治家の生態に関心を持つようになることの方が読書の「効用」としては大きい気がします。
まあ私にとっては、読んで面白かったというのが一番の効用でしたけれどもね。