昭和戦前期の政党政治―二大政党制はなぜ挫折したのか (ちくま新書)
- 作者: 筒井清忠
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: 新書
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その上で改めて感じたので須賀、「二大政党が足の引っ張り合いを続けた挙句、政党外のアクターを政治の場に引っ張り出してしまったがために政党政治の崩壊を自ら促したのだ」という主張は、表面的な事象の分析としては正しい半面、そう言っても仕方がないという側面も否めない気がしました。前回レビューや元老制度についてのところで触れたように、そもそも国会が首相を選べるという(日本国憲法のような)法的担保もなければ、そうした慣行も結局は成立しなかった中で、首相の座を得んとして他のアクターの協力を得ようとすることはやむを得ない自然な成り行きであって、もちろん「悪魔と手を結ぶ」ようなやり方であってはならないにせよ、政党側の行いの悪さだけを責めるのでは不十分だと思います。言ってしまえば、「戦前日本の政党政治」というゲームのプレイヤーが悪い手を打ち続けたということ以上に、そのゲームのルールの方に問題があったのではないでしょうか。
ついでなので言うと、著者は「政党外のアクターを政治に招き入れた」政党の自滅に批判的な論調を展開しているので須賀、上海事変後の対応で天皇による軍部コントロールをしなかった西園寺を批判する一節があり、この点では一貫性を欠く主張であるように見えました。
次は、この本でけちょんけちょんだった政党政治家の回顧録を紐解くことにします。