かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『オノマトペの謎―ピカチュウからモフモフまで』(窪薗晴夫編)

オノマトペの謎――ピカチュウからモフモフまで (岩波科学ライブラリー)

オノマトペの謎――ピカチュウからモフモフまで (岩波科学ライブラリー)

「ピカッ」と光る、「チューチュー」鳴く、「モフモフ」していてかわいい…などのように用いられるオノマトペについて、講演をもとにさまざまな角度から学術的に掘り下げた本です。
具体的には、ktpsなどの子音が位置によって特定の意味を示唆する、どの言語にどのくらい抽象的なオノマトペがあるかは概ね一次元的にランク付けできる*1、赤ちゃん言葉と類似性が大きく言語の発達を助ける、など、興味深い知見が数多く紹介されています。
ただ、第1子音としての「s」が「滑らかな表面」、「k」が硬い表面を意味し、第2子音の「s」が「摩擦」、「k」が「上下運動」を意味するから、子供が育つ様子を示す「スクスク」は「滑らかに上に伸びていくこと」、押さえた笑いを示す「クスクス」は「硬い表面が擦れること」につながるのだとすると、やっぱり言語記号は思ったよりも恣意的ではなさそうな気がしてきます。まさにこれまで抜き書きしてきたような子音ごとの意味にも、音韻学的な根拠が挙げられているわけで、オノマトペに限らない言語の生成過程を想像してみれば、音声と意味の関係が全く恣意的であると考える方が不自然なのではないでしょうか。もっと言うと、人間が初期に使った言葉の多くはむしろこのオノマトペだったのかもしれません(十分あり得ると思います)。そう考えていけば、オノマトペについて語ることは、言語の中のその特殊な一類型についてのみ語ることではないのでしょう。
 
月曜の朝から肩がバキバキに痛んで目が覚めてしまったので須賀、子供が起きる頃にウトウトしていてはまずいので二度寝に戻ろうかと思います。

*1:声や音などにとどまる英語<動きや形までカバーできるバスク語<感情までカバーできる日本語<味や色までカバーできる韓国語、と大体並べられる