かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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写真で綴る中朝国境旅行記四日目・帰国

帰りの大連空港



いやいや、全然大きな空港でしたね。行きに鹿児○空港みたいとか言ってごめんなさい。2枚目の看板は興味深いですね。「国際線と香港・マカオ・台湾はこちら」というのは、香港・マカオ・台湾は外国ではないことになっている*1ので「国際線」の一言ではまとめられない半面、北京や上海などとは一緒にできない実際上の事情がある、ということを奇しくも示しているわけです。それにしても、マカオが特別扱いされる理由ってなんでしょうね?

最後の写真はこちら。富強、民主、文明、和諧、自由、平等、公正、法治…。多くのスローガンが並んでいま須賀、そのうちいくつ実現しているといえるでしょうか。搭乗手続きを待ちながら、そして既に余命幾許もないことが伝わっていた劉暁波*2のことに思いを巡らせながら指折り数えてみるのでした。

あとがき

悪趣味な覗き見の記録を、写真を中心にご覧いただきました。それでも見てみたいものは見てみたいわけで、川を隔てた北朝鮮の雰囲気を、そして北朝鮮との「表玄関」の雰囲気を感じられて興味深かったです。
ただここから見えたのは、あくまでも中朝国境の「表の顔」です。建物が張りぼてかどうかまでは分かりませんでしたが、まさに中朝友誼橋のたもとに遊園地があり、いくつもの建物に川の向こう側に向かって体制礼讃の政治スローガンが掲げられていたことからも分かるように、このエリアがショーウィンドウ的な意味合い*3も持たされていることは否定できないと思います。そもそもを言えば、対岸の新義州市は30万人以上の人口を擁する、北朝鮮第4の都市です。その意味でも、丹東だけを見て中朝国境地帯のことが分かったように語るのは100年早いわけで、また近いうちに延辺あたりもゆっくり訪ねてみたいと思いました。
あと中国自体も10年ぶりでしたね。前回は上海から北京までバスや在来線で行き来するというコンセプトだったこともあって、旅行というよりちょっとした冒険のような感覚でしたが、今回は(座れれば)快適な高速鉄道にも乗ることができ、旅行先としてのイメージもだいぶ更新されたような気がします。またいろいろ、回ってみても楽しいかもしれません。
 
同じ日付に投稿したブックレビューでも触れましたが、やはりこの旅を通じて一番印象的だったのは、朝靄がかかった鴨緑江の光景でした。

すぐ近くにあるのに、靄がかかったように実態がつかめない国。実際に訪ねる、国境から眺める、専門家やその国から出てきた人の話を聞く、政府が発信する主張を分析する…。それぞれの手段に一長一短あるで生姜、粘り強く観察し、分析していきたい。真似事レベルであっても、その一手段を試せたのは有益だったと思っています。
毎度ながらご覧いただいた方に御礼申し上げ、いつもとはちょっとスタイルが違いましたが、これにて筆を擱きたいと思います。
(2017年7月18日午後0時半、自宅書斎にて)

*1:特に台湾!

*2:執筆中に亡くなりました。末期がんの報道が出た時点から、劉少奇彭徳懐の最期のことが頭から離れませんでした。ご冥福をお祈り申し上げます

*3:一般的には平壌に対して使われる言葉ではありま須賀