かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『アメリカ政治』(久保文明、砂田一郎、松岡泰、森脇俊雅)

アメリカ政治 第3版 (有斐閣アルマ > Specialized)

アメリカ政治 第3版 (有斐閣アルマ > Specialized)

三権のありようやイデオロギー、マイノリティを巡る問題など、アメリカ政治を論じる上での前提知識をサクッと解説してくれる本です。テーマ毎の章立てになってはいま須賀、現代*1の政治社会状況を形作った歴史的な経緯についても分かるようには書いてくれています。例えばトランプ大統領が就任後に連発した大統領令については言及がないなど、このシリーズにしては軽量級な感じは否めませんが、そこは良し悪しかなと思います。
個人的に一番感動したのは、この本全体からすれば瑣末な部分かもしれません。いわゆるヒッピーなどのカウンター・カルチャーに反発した保守派が、またもやいわゆる福音派など、現在の宗教右派のルーツとなったと指摘するくだりで、そのはしりとなった団体が「モラル・マジョリティ」と名乗ったことが書かれているんですね。どこかで聞いたことがある言葉だなと思ったら、Green Dayの有名な曲の歌詞にありました。

高校の英語の授業で歌わされた時はそこまで意識していなかったんで須賀、こういう社会的文脈があったのか、と本当に目からウロコが落ちる思いでした。
最近読んだ『外交』(キッシンジャー)でも、第二次大戦参戦に反対した孤立主義者らの組織の名が「アメリカ・ファースト委員会」であることを教えてもらいましたし、現在のことを知るためには、もっと表層的でない勉強の仕方をしなければいけないと感じさせられました。

*1:トランプ当選くらいまで扱っています