かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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『ヨーロッパの政治』(篠原一)

ヨーロッパの政治―歴史政治学試論

ヨーロッパの政治―歴史政治学試論

実に10年ぶりに再読しました。ただのヨーロッパ政治史ではなく、政治学の視点からそれを再構成していくという説明の仕方は、やはり純粋に読んでいて面白かったです。
それはダールのポリアーキーはもちろん、政治発展における危機や政治変動についてなど、再構成のための「道具立て」がしっかりしていればこそだと思いま須賀、一方で図式的すぎるという批判もあり得るでしょう*1。その意味では、肉を切ってみてそのナイフの方の切れ味を確かめるような営為を重ねていく必要があるのだと思います。その点この本では、時代的にも地理的にも「食材」が豊富なので、そこも含めて楽しめました。
最後に一つだけ言うなら、この本で示された「食器」で和食や中華料理も食べることができるのか、その点も興味が湧きましたね。

*1:例えば「権力真空」状態はともかく、「権力喪失」が段階論としてでなくそれそのもの意味として何を指すのか、ちょっとはっきりしない用法もあるように感じました