- 作者: 太田牛一,中川太古
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: 文庫
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話の本筋の部分はもはや珍しくもありませんけれども、信長が鷹狩りに行ってどんな遊びをしていたかとか、留守中に「鬼の居ぬ間に洗濯」していた安土城の女房らを絞め上げたとか、妖しげなエロ坊主を処刑したとか、当時も残っていた盟神探湯めいた裁定法に(あの信長が!)加担していたとか、兵糧攻めで餓死寸前だった鳥取城の城兵らがかわいそうだったので食べ物を与えたら逆に食べ過ぎて頓死する者が続出したとか、そういった当時の世相や風俗を感じさせるような話がちりばめられていたことの方が面白かったです*1。こうしたことは当代の人にとっては日常の風景だったり、正統派の人情話であるかあるいはちょっと変わった話だったりするくらいなので生姜、それが500年近く後になってみると当時を知る貴重な資料になるでしょうし、今回私がしたように、その時々の価値観や信長観で当時を偲ぶという営みは、読んでいる時/主体に固有のものであると言うことができると思います。そうやって考えていくと、時代を経てあるテキストが残っていき、読まれていくことって面白いですよね。
さて、最後に一つだけ。いくら「現代語訳」とはいえ、「是非に及ばず」が「やむをえぬ」になってしまってはちょっと…(笑)
*1:特に最後のはあまり笑えない話ではありま須賀