- 作者: 高田博行
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/06/24
- メディア: 新書
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大まかに言えば、その巧みな演説術で生の聴衆を掴んだことが政権獲得の原動力となりながら、政権獲得によってラジオというツールを手にしたことで逆に聴衆たるべき国民との温度差が生まれ、最終段階ではヒトラー自身が演説への熱意を失った―そう述べられています。
個別具体的な演説技術の話は面白かったですし、それに現実の歴史の流れが噛ませてあったのはとても分かりやすかったです。ただ残念なことに、この本を読み終えて真っ先に浮かんだ感想は「なるほどね。それで?」という域を出ませんでした。やや辛辣かもしれませんが基本的に順当な話が多く、「じゃあそこから何が分かったのか」とか「それをどう活かし得るのか」といった部分か薄弱な気がしました。それを読者が考える上での有益な材料である、という言い方はもちろんできるとは思いますけれども、ちょっともったいない気はしましたね。