かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

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「この道しかない」のか? ―衆院選投開票日を前に―

明日は総選挙の投開票日です。私は9月末に転居してから3カ月経たずに選挙となったため、不在者投票で前住所地の選挙区・ブロックに一票を投じてまいりました。不在者投票というのは初めてだったので須賀、投票用紙を入れた無記名の封筒を、さらに記名の封筒に入れるというのは知らなかったです。「投票の秘密」という観点から抵抗感を持つ人もいるかもしれませんね。急な選挙とあってか、投票に必要な書類が届いたのも割とギリギリ*1でしたが、なんとか大手を振って自分の権利を行使してくることができました。ちなみにこれ、こちらがベストを尽くしても投開票日に不在者投票手続きが間に合わなかった場合、参政権の侵害とかで選管を訴えたらどうなるんですかね?www
 
さて本題です。

衆院選トレンド調査】自民の優勢続く アベノミクス評価せず51%
共同通信社は10、11両日、衆院選に向けた有権者の支持動向などを探る全国電世論調査(トレンド調査)の3回目を実施した。比例代表の投票先は自民党が前回調査(11月28、29両日)と同じ28・0%で引き続き首位となった。民主党は1・5ポイント増の11・8%。3回の調査全てで自民党民主党の2倍を超える大差をつけ、優勢が続いている。安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」について「評価しない」との回答は51・8%で過半数を占めた。「評価する」は37・1%だった。
内閣支持率は48・7%で不支持率41・1%を上回った。前回は不支持47・3%、支持43・6%で再び逆転した。
望ましい選挙結果について「与党と野党の勢力が伯仲する」が47・2%を占め、3回連続で最多。ただ前回と比べ5・8ポイント減った。「与党が野党を上回る」が4・7ポイント増えて34・9%となった。
原発再稼働に関し「反対」が51・7%で半数を超えた。憲法改正は「反対」45・6%、「賛成」36・2%だった。
比例投票先は自民、民主両党のほか、維新の党6・1%(前回3・3%)、公明党6・1%(4・6%)、次世代の党2・0%(0・6%)、共産党6・0%(4・4%)、生活の党0・9%(0・3%)、社民党0・9%(0・8%)。新党改革は前回に続き回答がなかった。投票先を「決めていない」との回答は32・5%で、前回より8・7ポイント減った。
衆院選に「大いに関心がある」「ある程度関心がある」と答えた人の合計は69・5%で、前回の67・4%と比べ微増にとどまった。
支持政党が「ない」と答えた無党派層は64・6%。「あえて支持するとすればどの政党か」と聞くと、自民党27・9%、民主党10・7%、維新の党8・6%の順だった。
小選挙区の投票先は、自民党が4・7ポイント増の34・1%、民主党は0・9ポイント増の11・7%で差が広がった。
投票の際に最も重視する課題は「景気や雇用など経済政策」30・9%、「年金や少子化対策など社会保障」29・4%、「財政再建」9・1%、「原発・エネルギー政策」7・7%、「地域活性化」6・6%の順だった。
(12月12日、共同通信

今回の選挙は特に、「有権者の関心が低い」「投票率が戦後最低になるのでは」などと言われています。報道機関の世論調査を見ても、国会の勢力分布として「与野党伯仲を望む」との回答が多いにもかかわらず、じゃあどこに投票しますかと聞くと「自民党」が多い。正直言って、解散時には「与党の議席がどの程度減るかが見どころかな」と思っていたので須賀さにあらず、改選議席を上回るのではないかというのが報道各社の見通しのようです。つまるところは、「あんまり安倍政権が独走するのはよくないと思うけど、他に投票できる政党がない。生姜ないから自民党に入れるか、投票に行かないかだなあ」という空気が蔓延しているということでしょうか。だとすれば、政権を失ってからの2年間で何をしていたのかさっぱり見えてこない民主党や、「衆議院が解散したら党まで解散してしまった」(by安倍首相)というゴタゴタで野党への「頼りなさ」を増幅させてしまったみんなの党は結構罪深いですよね。名指しもどうかと思いま須賀、特に渡辺喜美さん。クリスマスイブの特別国会に戻って来られる見込みは薄そうで須賀、この人の最近の言動は陰に陽にすべてひっくるめて与党を利していたというか、まるで与党の工作員のようでした。それらを含めて考えると、今回総選挙の野党は候補者調整以前の問題だったと言わざるを得ないと思います。
…となんだかんだ言って野党に投票してきた私が野党の批判を続けると、ますます二重人格だと罵られそうなのでこの辺にしておきましょう。対する与党だって、かなりスベっていると思います。安倍首相は「信なくば立たず」とか「アベノミクスの是非を問う選挙だ」とか、原発は動かしたいのにそういうところだけ小泉元首相のマネをしようとしているのが見え見えなんで須賀、まあ勝てばいいということなんでしょうけど、今起こっているのは、郵政選挙の時のような熱狂や激情ではなく、実感もなく雲を掴むようなテクニカルな経済論争が煙幕になって、多くの人が白けちゃったという現状ではないでしょうか。「この世では、景気が良ければ報いはある。近頃では景気がいい。現体制をどう思うかって?これは国民にパンを約束してくれているし、自分はパンを焼くだけだ」。ナチ政権下の市井のパン屋さんのこんな言葉が残っていま須賀、今回の選挙はまさにそんな雰囲気であるように思えます。ただ一点違うとすれば、今の日本には「景気がいい」という実感はない、ということでしょうか。
安倍首相が9年前のマネをしているということから一つ読み取るべきことがあるとすれば、それは「選挙に勝った政権は、たとえ選挙中に自ら『単一争点選挙だ』と謳っていたとしても、往々にして自分たちのすべてが信任されたかのように振る舞う」ということです。年明けからは集団的自衛権行使容認に関連する法案審議が始まりますし、原発再稼働に向けた動きも加速するでしょう。安倍首相が「次の4年」で改憲という宿願に挑む可能性も十分あります。現実、自民党が出した「重点政策」にも、それぞれ「『国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について』(平成26年7月1日閣議決定)に基づき、いかなる事態に対しても国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備します」、「原子力については、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源との位置付けの下、活用してまいります」、「国民の理解を得つつ憲法改正原案を国会に提出し、憲法改正のための国民投票を実施、憲法改正を目指します」と明記されています。
つまり、選挙時には「アベノミクスの是非、その一点を問う選挙です!」と叫んでいても、終わってしばらく経ったら「先の選挙で安倍内閣とその方針が信任された。選挙の時に出した政策集にも原発は動かすし憲法も変えるって書いてあるでしょ」とこともなげに言い放つ、そんな事態は過去にもあったし、今回も十分あり得るということです。何より、安倍政権がこの2年間にしてきたことと、今後の政治スケジュールを見れば、そのことは明らかなはずです。この選挙の争点は、言うまでもなく経済政策一本ではありません。立憲主義を捻じ曲げ、市民の知る権利を侵し、この期に及んでまだ原発を動かそうとする政権全体の評価が問われています。逆に言えば、選挙後に官房長官あたりに「原発再稼働は前回公約に掲げて信任されましたので」と言われてしまえば、「調子いいこと言いやがってこの野郎!!」と吐き捨てることはできても、実は有効な反論はしにくい、と私は思います。その点よくご検討の上で、1人でも多くの方に政権への賛否を表明してきてほしいと思います。民主主義はベターです。乱暴な言い方に聞こえるかもしれませんが、ベストを求めるなら、その人自身が立候補するしかありません。
「この道しかない」。そのフレーズを聞く度に、私はとても残念な気持ちになります。「政治は可能性の芸術である」とはビスマルクの言葉で須賀、良くも悪くもそうした、「政治」という営みの持つ豊かさのようなものを切り捨てている、もっと言えば冒涜しているように思えるのです。言っている人の政治観がいかに貧困かを勝手に表現して下さるのはご自由なんですけど、逆に政治の「観客」ではなく「参加者」である有権者が、それ本来の豊かさや可能性を示す、まずは少しでもそんなありように近づける選挙であってほしいと願うので須賀これ如何。

*1:前住所地の選管から届いた書類に必要事項を記入して返送した後に送られてきます。つまり1往復半