- 作者: 廣瀬陽子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/08/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なかなか未承認国家という切り口から深く国際政治を考えたことがなかったので、非常に興味深い示唆を得ることができました。未承認国家は内外の(消極的な意味を含む)支持を得るため、自由化・民主化を進めるインセンティブがある*1とか、軍事基地の設置などのために広義の「帝国」と呼ばれる国々が未承認国家を生み、維持している側面がある*2という指摘などがそれです。それこそ本でも再三指摘されているように、「領土保全」と「民族自決」という容易には相容れない大原則*3の狭間にある問題だけに、「ナウい」*4かどうか以前にまさしく国際政治学の急所を突くような領域であると言うことができるかもしれません。
ただ、一つだけ言っておけば、このテーマが「ナウい」ものになったそのパンドラの箱を開けたのは、日本を含む「西側」と見なされてきた国の多くが未承認国家であるところのコソヴォを国家承認したことにあるとされています。それは割と広いコンセンサスを得ている議論だと認識していま須賀、それこそ納豆による空爆から国家承認まで、なぜこのケースにおいて領土保全原則の例外が行われたのか、もう少し腑に落ちる説明があればとは思いました。かつて読んだ『戦争広告代理店』についても指摘がありましたが、それだけが要因ということはないでしょう。