現場を離れて久しい新聞記者のブログ。 読んだ本の紹介や旅行記(北朝鮮竹島イランなど)が中心です。 

子は泣き、父は泣き言/『きみは赤ちゃん』レビューなど

この間、ここで息子のことを書いてこなかったのは、引っ越しや別部門への異動でバタバタしていたということはありましたけれども、彼と関わっていく中で私自身がしんどいと感じることが多かったからであるとも思います。
息子は5ヶ月半。機嫌のいい時には顔を見ると笑いかけてきたり、あやすと声を出して笑ったりと反応はかなりよくなりました。体重もかなり大きな部類らしく、そのせいか寝返りはもう少しという感じで須賀、腰はそれなりに据わってきたようです。足を擦り合わせたり、結構な握力で足を掴んだりと自分の足の/による感覚を楽しんでいる様子もあり、たまに風呂場で違うものを握りしめてしまって自分で悶え苦しんでいるらしい状況にも出くわしました*1
そういう(大人から見てそう喜べるような)「成長」は枚挙に暇がないくらいなので須賀、逆に同居する大人にとって都合の悪い変化も出てきました。最たるものは、夜、しょっちゅう目を覚ますようになったこと。起きれば当然泣きますし、授乳をしてもしばらく寝ない。そうなると「日付が回ってまっすぐ帰って来てみたら(今は大体そんな感じです)絶賛夜泣き中でした」とか、「あ、今の物音で起きちゃった?」なんてこともしばしばあったりします。朝は相変わらず早くからハイテンションでいらっしゃって、そのお相手をしたり風呂に入れたりたまに保育園見学に回ったり*2していたらもう昼。そこから仕事に出かけて、戻ってくるのがまた夜中。最近はそんなサイクルです。
幸いにして、まさに今、これを書いている瞬間はそういう気持ちはほぼないので須賀、これがいつまで続くんだろう、と絶望的な気持ちになることが最近あります。そもそも1歳にもならない子供を抱えた親が言っていいことではないのかもしれないし、もっと息子に張り付いている細君を前によくそんなことが言えたものですねという気持ちも我ながらするので須賀、今の生活の中で、自分の好きになる時間がほとんどないのが正直耐えがたい。これまで基本的に自分のペースで生きてきてしまった人間にとって、赤ん坊とはいえ、他人のペースで日常を過ごすことがここまでストレスのたまることなのか、と自分で驚いていたりします。仕事がそれなりに楽しさと張り合いを持って出来ているのでまあなんとかというところではありま須賀、「制限時間内に空白のない紙面を仕上げないと印刷工場とか新聞販売店さんに怒られるよ!」というのが大前提の職場でもありますので、(これは細君に似たようなことを言われましたが)確実に神経はすり減ってる感じなんですね。そこであまりにも泣かれちゃうと、「自分はこのままあれよあれよという間に年をとって死んでいくんじゃないだろうか」とか「いつまた子供が目を覚まして泣き出すんじゃないかその度に今やってること全部中断だわほんと怖いわ」とか「これまで調子に乗ってやってきたような気になってるけど、やっぱりそもそも自分みたいな勝手な人間には子育てなんて向いてないんだ」とか「あーもう寝かせてよ」という発想になっていってしまうわけです。多分、世の子育て中のパパママが見たら「何甘ったれてんだ」と呆れられるんでしょうけどねww
私がそんなモードに入りこんでしまうと、真の意味で子供中心の生活を送っている育休中の細君は割とおかんむりです(当たり前ですよね)。「あなたの今の生活にゆとりがないからそう感じるのであって、ゆとりをつくって子供と接するべきだ。それができないなら他のものはやめてしまえ!」と言われたりもしまして、今こうやってやや冷静に振り返ってみると後段はともかく、前段は否定できない気がしてきます。ただ、やはり2ヶ月「育休」を取っていたこともあってか、細君の私に対する期待というのも比較的大きいのかなという思いもあって*3、枕元に本を平積みにした布団の上で、それこと子供と一緒に寝たり起きたりしていた時期と(労力の配分的にも精神的にも)比べられちゃうのはちょっと辛いというのが正直なところです。
…以上は、私がやってもいないのに勝手にしんどくなって泣き言を書き連ねているだけなので須賀、こう考えてみると、本当に真剣に育児に取り組んでいるパパたちが本当の意味で疲れちゃった、みたいなこともあるかもしれませんよね。これを自己正当化とか自己憐憫で言っていると思われるとかなり不本意なので須賀、それこそこれから一層「イクメン」とやらが増えていくとするなら、パパママ両方の精神的サポートが課題になってくるのではないでしょうか。実際にそういう話もなくはないみたいですし。
 
割とそんなテンションの時に読んだ2冊。

きみは赤ちゃん

きみは赤ちゃん

  • 『こんなにちがう! 世界の子育て』(メイリン・ホプグッド、野口深雪)

こんなにちがう!  世界の子育て

こんなにちがう! 世界の子育て

『きみは赤ちゃん』は芥川賞作家による話題作。当然妊娠・育児生活や出産方法などはそれぞれなんですけど、息子が生まれた時のことを思い出しましたね。著者はそれこそ産前産後の苦しみを存分に味わいながらも、「この子が赤ちゃんであるのは今だけなんだ」と前向きに育児に取り組んでいっています。確かにそれはその通りで、私が赤ちゃんである息子と接することができるのも今だけなんですよね。それを思うと、ここまで書いてきたことを思い悩んできた自分は何だったんだみたいな心境にもなりましたが、逆に言うと、そういう言わばある種のノスタルジックな感情でしか自分を言い聞かせることができないのか、というか、それはそれでちょっと悲しい気持にもなりました。いえ、著者を批判しているわけではありません。
後者は世界各地の子育てのやり方を様々紹介するというタイトル通りの本ですね。アルゼンチンでは子供も夜更かしOKとか、中国のトイレトレーニングとか、パパの乳首を吸わせたりもして育児するアフリカの民族など、多彩な事例と近年の研究成果が紹介されており、「育児かくあるべし」的な固定観念を解きほぐす意味では興味深い本かもしれません。ただ、英語の本にありがちと言われればそうかもしれませんが、著者やその娘さんに引きつけて話が展開されていたあたりはご愛嬌、といったところかもしれません。

*1:失礼しました

*2:これは「出席率」半分くらいなんですけどね

*3:もちろんそれが不当な要求だとは全く思いませんが