小泉政権の末期(概ね「
郵政選挙」後)に、
小泉純一郎その人と彼の政権について論じた本です。説得しない、調整しない、妥協しないの「三無主義」を特徴とし、刹那的でもあるといった彼個人のキャ
ラクターにまつわる話や、そんな人物が総裁となってこれまでの意思決定手法など「党内の文法」を平然と無視し始めることで、
自民党や党内の派閥がどうなってしまったか―といった話が、読みやすい文体で紹介されています。著者が彼自身から(お得意の)聞き取りをするなど、じかに接して得た材料というのはあまりないので須賀、報道などで伝えられた発言を丁寧に追っているなあという印象は受けました。そして何より、
後藤田正晴など
自民党のかつての有力政治家らへのオーラルヒストリーの蓄積が、「小泉さんはこれまでと何が違うのか」をよく炙り出している気がします。
とはいえ議論の性質上、書かれた当時の政局が色濃く表れてもいたわけで、いかにも懐かしいなあというのがこの本を読んでの一番の感想だったんですけどね。