- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/05/27
- メディア: Kindle版
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今の日本を取り巻く「ナショナリズム」の現象論から理論的なテーマまでを一口サイズで紹介していて、たまにどうしようもないようなのもありますけど、面白くかつ有益な読書経験だったなあと思います。韓国の元外交官が韓国の(立場というより)本音を語った趙世暎、日中関係におけるパンドラの箱は開けない方がよかったんじゃないのとぼやく富坂聰、日本をも「脱植民地主義」から解釈した高原基彰、米国が日本の紛争に巻き込まれることを恐れているという柳澤協二、駐日外国人記者へのアンケート、この本の副題になっている「平成ナショナリズム」なんて空騒ぎであって、いるとすればそれを悪意的に利用しようとしている連中だけだと喝破する橋爪大三郎&大澤真幸の『ふしぎなキリスト教』コンビと白井聡、軍歌の変遷からナショナリズム(というよりエスノセントリズム)の無原則・ご都合主義を衝く辻田真佐憲…あたりは内容への賛否はともかく、手に取られたら読んでみてもいいんじゃないかと思います(敬称略)。もちろんこれ以外にも興味深いのはいろいろあって、例えば最後の対談はややイデオロギーの色分けごっこみたいな話ではありましたが、「ネット右翼の担い手は福祉国家に見放された貧困層ではなく、実はアッパーミドルの富裕層である」とか、そうした思潮の担い手に関していくつか気になる言及がなされていました。
欺瞞に満ち満ちした発言を楽しみたいなら、石破茂の対談もいいかもしれません。対談の中で彼は「集団的自衛権とナショナリズムを結び付けるなんて飛躍が過ぎますねえ」*2なんて言ってま須賀、そもそも「集団的自衛権を行使できない日本は禁治産者だという人もいる!」とか言って煽ってたのは安倍首相その人なんですけどね。