かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『イノベーションリーダー』(内山力)

会社の変革を担う「イノベーションリーダー」とはどんな存在であり、どのように仕事に臨むべきかについて、経営塾などの講師を務めた経験を通じて論じた本です。会社とはいかにあるべきか、何に基づいて仕事をすべきかという根本的な命題から話を展開しており、構造的にもすっきりして読みやすかったです。
一つ印象深かったのは、「プレイヤーとマネージャーは役割が違うのであって、どっちが偉いというものではない」という捉え方です。会社組織だとどうしても「平社員よりも課長の方が偉い」という発想になってしまいがちで須賀、指摘のあるように監督になるためにプロ野球選手になろうとする人は基本的にいないでしょうし、「名選手必ずしも名監督ならず」*1ということもよく言われます。
振り返ってみると、新聞記者にもこのタイプは多いですね。本社なりに座って記者を差配するデスクになるのを嫌がるベテラン記者、という姿も目にしたことがありますし、大新聞の本社で上り詰めたような人が「本当は『生涯一記者』で現場にいたいんだよね」なんて話していたのもよく覚えています。その一方で、社内でどうしてもメインストリームと見なされがちな編集局の出世頭が、社長候補の「修行」として営業部門などのトップになるものの、所詮はずぶの素人で…なんて展開も珍しいものではないようです。個々のプレイヤー志向の強さはそれはそれで結構なので生姜、組織にこの本で言うところのイノベーションリーダーを育てる力が往々にして備わっていない。販売店網で紙を配って儲ける、というビジネスモデルが曲がり角と言われるようになってもう久しいで須賀、そうだからこそ、ジャーナリズムの使命に立ち返りながらの変革が必要ですよね。ホントは。

*1:これは長嶋茂雄氏のことを指していると解釈してきましたが、某在阪球団のスパイス監督も選手時代に好きだっただけに、私の中でその範疇に収まりつつあります