- 作者: ケリー・マクゴニガル,神崎朗子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2012/10/20
- メディア: 単行本
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しかし、この本はその点に関しては明確な一線を画していて、「すべき何かをする力」「すべきでない何かをしない力」「自分のあるべき姿を望む力」とされる「意志力」に関し、心理学や脳科学などからの研究成果をふんだんに用いた論理構成となっています。その上で自分、というより人間というものは、合理的選択論の登場人物としてふさわしいほど常に理性的・自制的な存在ではないということを受け入れながらも、そこに様々な手法で*1折り合いをつけていくことを薦めています。確かにそれは穏当な主張と言えばそうなんで生姜、やっぱり「より効率的に人生を送りましょう」と言われているような気がして、私としてはなんだか素直には呑み込めませんでした。でもその反感を突き詰めていくと、「
知見、というところで思い出しましたが、やはりこの本を読んで最も印象的だったのは、アメリカにおいて「意志力」に関する知見が如何に科学的実験・検証の対象として扱われているか、ということです。意志の力なんて聞くと、条件反射的に精神論的いかがわしさを訝ってしまう感覚とはかなり異質な空間ということなのでしょう。
*1:具体的な手法がどのくらいしっかり根拠づけられたものであるかにはばらつきがあるように思いま須賀