かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『朝鮮総連』(金賛汀)

朝鮮総連 (新潮新書)

朝鮮総連 (新潮新書)

かつて自身も身を置いた著者が、朝鮮総連の歴史と実態について述べた本です。「在日朝鮮人の権利を守るための組織」であるべき総連が、如何にして「北朝鮮の手先」と化していったのか、との強い問題意識から書かれており、在日社会内の主導権争いで、一方が北朝鮮と結びつくことで結果的にその干渉を招き入れ、徐々に支配・管理されていくさまが克明に描かれています。
知識として学ぶことも多い本で須賀、一つだけ言うなら、話の中に著者自身の半生をあえてもう少し織り込んでもよかったのではないかと感じました。タイトルの通り議論の主題はあくまでも総連組織であり、そこが自分語りに埋め尽くされるのもどうかとは思いま須賀、かつて自身もその中にいたということであるならば、読者は著者の立場というものをより慎重に斟酌しながら読むことが求められるわけで、その上ではむしろ、著者はその時々にどういう立場で、何をしていたのかという情報がより豊富にあった方がよいのではないかと感じました。彼がどういう経緯で総連と「決別」したのか。書きにくいこともあるので生姜、それを知ることは総連そのものの理解にも資するように思います。