かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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『法哲学』(レイモンド・ワックス)

法哲学 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

法哲学 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

自然法、法実証主義、批判的法理論など、さまざまなアプローチから法哲学の諸問題を覗いてみたらどんな感じか、ということをざっと洗った本です。トマス・アクィナスホッブズベンサム、ケルゼン、ドゥオーキン、ロールズデュルケームウェーバーマルクス、ハーバマス、フーコーラカンデリダ…というのは、この本に登場した人物の名前の一部でしかないので須賀、一見こうした、人によっては法学とあまりご縁がなさそうなお歴々が法というものをどう眺めたのか、その点での発見ができたのは楽しかったです。フェミニズムとかも「法は強者の道具でしかない!」的なマルクス主義っぽい発想の影響を色濃く受けているようで、今更ながらなるほどなあと思わされました。
一方で言うと、解説で指摘されているようにテーマ毎ではなく思潮毎での章立てがなされており、またいわゆる「紙幅の都合」というものもかなり作用したせいか、読みながら自分もその論点の深みにハマっていって、著者を含めた論者ともみ合いをしている気分に勝手に浸りながらのたうちまわるエキサイティングさというか、その快感というものはあまりと言うよりほとんど、得ることができませんでした。いい本か悪い本かということを言うつもりはありませんし、率直に言って私にはその材料はありません。ただ、自分の嗜好と能力(笑)に合った本選びはあるよね、ということも一つ収穫にしたいと思います。