- 作者: ズビグネフブレジンスキー,伊藤憲一
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 1989/10
- メディア: 単行本
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まぁ基本的には「共産主義はこんなにダメダメだ」「今更ゴルバチョフが何をしようがとてもじゃないけどムリ」みたいなことが縷々書かれているので須賀、2点だけ気になったことを指摘しておきます。まず1点目として、「マルクス主義」「レーニン主義」「スターリン主義」、あるいは「マルクス・レーニン主義」といった用語の指し示す概念についてです。気にしながら読むともちろん著者はそれらに違った意味を付与していることがわかりますし、スターリン批判やペレストロイカの理解はその差異を踏まえることがカギにもなってくるので須賀、全体においてその用語法がどこまで維持されているか、やや疑問な部分もありました。そこになってくると翻訳の問題である可能性もありま須賀、個人的な好みを含めて言わせてもらうと、それらの概念的な違いについてもう少し理論的に解説してくれてもいい気がします。
あともう一つ。いわゆる共産圏への悲観的・批判的な分析が大部分を占めるこの本において、西側諸国の社会保障制度の構築と関わりの深い社会民主主義への言及があまりにも少なかったことは残念でした。それこそ先進国で共産主義革命が起らなかったのは、それらの国の多くで共産主義との間の言わば折衷的な政策がしばしば採られてきたこととも無関係ではないわけで、「大いなる失敗」の「政治的・知的遺産」と言うなら、そのことについてももっと言及すべきだったと思います。
ちなみにこの方、オバマ政権にも影響力を及ぼしてるみたいですね。