- 作者: 曙機関,gen
- 出版社/メーカー: イーグルパブリシング
- 発売日: 2010/10/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まず最も基本的かつ簡単なことで、誤字が非常に多い。探そうとしなくても次から次へと出てきて、しまいには「管直人」なんて人が出てくる。一つ二つなら見つけたこっちが嬉しくなって、批判する気にはあまりならないので須賀、ここまで多いとちゃんと校正してるのかと疑念を抱かざるを得ません。
第二に、話の展開にもあまり納得いきませんでした。「北レス(北朝鮮レストラン)が日本人に人気なのは、そこで出る料理が日本食に近いからでは」など、様々な推論をするのはもちろん自由ですし結構なことで須賀、それが説得的かどうかという部分で私として疑問符をつけざるを得ない部分が複数ありました。あと「同じ種類の生物では、より高緯度にいるものの方が寒さに適応するために体格が大きくなる。だから北朝鮮人は韓国人より長身で当然」というのはちょっと唐突すぎますよねww これを言うためには、少なくとも(1)歴史的に朝鮮半島はかなりの安定社会で、朝鮮戦争などの動乱を経ても人口の移動があまりなかった、(2)半島の南北で体格差が出るほどに気候が違う、の二つを同時に満たす必要があるはずです。人間集団間の生物学的形質の崔みたいな話は、慎重に慎重を重ねて*2議論してほしいものです。
最後に、北朝鮮の諸相を結び付けるはずの「萌え」というキーワードが、十分に機能していないようにお萌えます。この本における「北朝鮮」と「萌え」の関係は、[1]何かの対象に萌えてしまった金正日が、その欲求を満たすために行動したためこんなおかしなことになってしまった、[2]北朝鮮人民が将軍様に萌えているからこんなおかしなこともまかり通る、[3]こんなおかしな北朝鮮や将軍様に読者諸君も萌えるべきだ、という3種類に大体収斂すると言えると思うので須賀、[3]を言い出せばなんとでも言えちゃうんですよね。萌えという言葉自体でなくても、せめて北朝鮮萌えとは全体としてどんなコンセプトなのかが提示されないと、萌えの代わりに「イカす」とか「チョベリグ」とか「△」とか「マンセー」でも全く問題ないということにもなりかねません。っていうかそもそも問題ないんでしょうね。4年後には「金正恩△」とかいう本が出てるかもしれないし。
そんなわけでこの本を読んでも、全く北朝鮮に萌えることができませんでした。