かぶとむしアル中

取材現場を離れて久しい新聞社員のブログ。 本の感想や旅行記(北朝鮮・竹島上陸など。最初の記事から飛べます)。

北朝鮮竹島イラン旅行記
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あこがれの北朝鮮ツアー三日目・平壌一日観光

【目次】

※写真はこちらから※
 
 

万景台―「貧農」の立派な生家

私の見た平壌の10月10日

10月10日。まぁこの日の日付なんですけど、この日はかつての日本だけでなく北朝鮮にとっても特別な日、つまり祝日なのです。と言ってももちろん「体育の日*1」ではなくて、「朝鮮労働党創立記念日」なんですけどねww 例年行事はあるんでしょうけど特に今年は結党60周年とあって、かなりの力の入れようだったみたいですよ。ですから日本のマスコミなんかもこの日の平壌の様子を報じていた…んですよね? そんなわけで、日本だけでなく世界の少なからずの地域に紹介されただろう10月10日の平壌を、この*2私がブラウン管を通さずに*3お送りします。

てまひまかけた三段弁当

起きたのは7時半過ぎ。って集合8時半じゃん!! 昨日あんなんだったから風呂も入ってないよorz しかも軽く頭が痛(ry
…お見苦しいところをお見せしましたw で窮した二日酔い二人は残り10分ちょいで食堂に駆け込み、パンだけもらってバスで食べる作戦に出たのです。そこでの一幕。
友人「(袋を指差しながら)パン、パン」
ウェイトレス「いぇ〜」
(ウェイトレスは袋を持って厨房へ)
3分経過…
友人「(時計を指差し)ノータイム」
私「시간이 없어요*4
ウェイター「〜*5
さらに3分経過…
友人「(時計を指差し)ノータイム、ノータイム」
私「시간이 없어요*6
ウェイトレス「〜*7
さらに(ry
友人「先行ってるからあと3分(確か)で来なかったら降りてきてよ」
私「わかった」
そして「さてはシステムが官僚的過ぎてイレギュラーに対処できないんだな、これだから社会主義は…」と自分の寝坊を棚に上げた議論を脳内で展開しながら、一人で待つこと3分。もうあきらめて食堂を出ようかと思ったその時、やっと出てきたのは…
プラスチック容器の三段弁当ですか。
まぁ嬉しかったですけどね。目玉焼きなんかはわざわざ私達のために焼いてくれた風でしたし。日本では「異国」というよりむしろ「敵国」に近い扱いをされているこの国で人のやさしさに触れて、それまで時間だ何だとセコセコしていた私が一瞬恥ずかしくなりました…けど彼らにはもう少し空気を詠(ry
集合には何とか間に合いましたw

金日成生家とその「神話」

最後の乗客を乗せた(藁)バスは、ホテルを出発して金日成主席の生家のある万景台へ。万景台というのは平壌市内でもとても見晴らしのいい*8ところで、日本で有名な万景峰号はこの近くの万景峰という峰にちなんで名付けられたとか…なんて話を聞きながらお弁当をいただこうと袋から容器を出したその瞬間、衝撃の事実が発覚しました。箸が、ない〜〜〜♪ 手づかみで食えって言うんですか、まぁそうしましたけどw ちなみに私はその頃までには元気になっていたので心のこもった朝食をおいしくいただいた*9んで須賀、友人はあまり手が付かない様子でした、、、
んなことをやっているうちに万景台の金日成の生家に到着。建物自体は結構しっかりした感じで、金日成一族*10の顔写真が遺影みたいにして飾られていたり、一族が実際に使った農具の類が展示されていたりしました。日にちが日にちだったからか、軍服(?)を着た少年少女が生家に向かって次々に敬礼していたのが印象的でしたね。
そこの解説員の話によると、昔から見晴らしのよかった万景台には身分の高い人たちのお墓があり、そのお墓を守る墓守の一族から出たのが金日成なんだそうです。で、墓守だから貧しい暮らしを送っていた、と。こうしてプロレタリア革命の指導者たるにある意味必要な「出自の貧しさ」と、偉大なる首領様としての神格化に有効な「生家が景勝地(あるいは高所)」は矛盾なく説明されている、ってことになっているんですけど…なんか怪しいですよねw
ちなみにここのおみやげ物屋さんで銅製の金正日メダル*11を二つ買いましたが何か。

地下鉄と花の展示館

平壌に地下鉄!?

次は平壌地下鉄の乗車をしました。って言うと意外に思われる方もいるかもしれませんが、平壌にはソウルよりも先に地下鉄が敷かれており、バスやトロリーバス路面電車と並ぶ重要な市民の足となっているそうです。営業時間は午前6時から午後9時半、って結構長いですよね。ちなみに平壌の地下鉄には千里馬*12線と革新線の二路線があるんで須賀、今回乗ったのは外国人観光客が乗ることができるのは千里馬線の復興駅から栄光駅の一区間のみでした。まぁぶっちゃけ気付かないフリをして乗るべき電車を逃がしてみたりとか、一駅くらい乗り過ごしてみる、なんてこともできなくはなかったと思いますけどwww

あまりに深い巨大エスカレーター

話を戻しましょう。まず地上から階段で少し下ると改札と路線図がありました。路線図は親切にも、出発駅と到着駅のボタンを押すとランプで経路が示される仕組みになっています。まぁ路線が二つだからできるんでしょうけどね、もしこれを東京メトロがやったら(ry 改札は超アナログな感じでした。ただ平壌市民たちがどうやって入場しているのかは見てこなかった*13ですね…
改札を抜けると下りエスカレーターが…って長杉。見た瞬間足がすくみましたorz 永田町駅半蔵門線ホーム行きのエスカレーターもなかなか立派で須賀、ここはその比ではなかったです。全長100メートルをゆうに*14…って上の方で足を滑らせたら確実に死者が続出でしょう、、、 そんなエスカレーターですからまず歩いて降りる人はいませんし、右に左にと人が立っている状態*15に腹を立てる人もいません。それどころか何人か座ってるじゃんw あと瑣末なことで須賀エスカレーターよりも手すりの方が降下速度が速かったです。

"the place for ideological education"

ホームも日本のそれとは大いに違っていました。まず天井にはシャンデリア。そして両側面には立派なモザイク画です。しかもその絵は「復興駅」の名にふさわしい、「朝鮮戦争後の復興」をテーマにしたものばかりでした。地下鉄のパンフレットにも英語で、「平壌地下鉄は単なる交通手段ではなく、イデオロギー教育の場でもあるのです」って書いてありましたが、まさにそんな感じでしたね。ホームに労働新聞もあったし。
そうこうしているうちに電車がやってきました。車体も古風な感じでしたが、ドアを手で開ける電車を初めて見ましたねwww 車内は金日成の写真がある以外日本のそれと大きな違いはありませんでしたが、ちょっと椅子がかた(ry もちろん普通の乗客と乗りあわせたんで須賀そこまでじろじろ見られている感じはなかったですね。
次の栄光駅には割とすぐ着きました。そして豪華なホーム*16と長い長いエスカレーターを経てついに地上へ。なんか電車に乗るまでが一苦労でしたね。ちなみに栄光駅のホームの壁画はいかにも復興後の「栄光」って感じでしたよw

切符はホンモノ?

あと、栄光駅を出たところでBさんが地下鉄の切符を配っていました。彼女の厚意とのことだったのでありがたく頂戴しておいたので須賀、切符というよりではなくて紙片でしたねw 三枚一組だったんで須賀ミシン目もなければ磁気もなく、そして日付すらありませんでした。ここまで書いた今初めて、それはホンモノではなく切符のレプリカなのではないかという疑念に突き当たりましたが(藁)、もしそれが通用するホンモノであるならいつかそれを使って栄光駅の先まで行ってみたいものです。

北朝鮮の新聞事情

あとこれは全くの余談なんで須賀、ホームで労働新聞を見て北朝鮮の新聞メディアの状況が気になった私は、Aさんに「国内に労働新聞以外の新聞はありますか?」と聞いてみました。すると、「国内には多くのローカル新聞があり、むしろそちらの方がシェアが大きい」とのこと。ならばと思って平壌周辺のローカル紙「平壌新聞」を一部もらえないかと頼んでみたんで須賀、「どこか買える場所があれば」と言われたきりで結局手に入れることはできませんでしたorz ちょっとしてからBさんにも頼んでみたんですけど即Aさんに報告して何かやり取りをしていたので、多分Aさんが「出さない」という判断をしたんでしょうね。一体どんな紙面なんでしょうか…

花よりバッジw

さてさて、お次は「花の展示館」を見学しました。北朝鮮まで来てなんで花なんだ、というツッコミがありそうで須賀、ここに飾られているのはただの花ではないのです。「金日成花」と「金正日花」。北朝鮮に来る前に一度テレビで見たことがあったので冷静に対処(?)できましたが、現地で初耳だったら多分吹き出していたと思いますwww
展示館では、生来花とかにはあまり興味がない方だったので花に関する説明とかはスルーする*17かわりに、来ていた市民のバッジと身なりの対応関係を見出すべく彼らをガン見していました。この日が党創建60周年の祝日だったこともあってかなりの数のサンプルはあったんですけど結局分からず仕舞いでしたね… まぁ何らかの傾向はあった気がしま須賀、この国に関しての説得的な論拠ではなく、先入観に基づいた言説はもうこれ以上必要ないと思うので言及は避けることにします。

北朝鮮でミルクキャンディー

一通りバッジの見学を終えて建物から出ると、駐車スペースの端の方にアイスクリームの出店を発見しました。近づいて様子を見ているとAさんが、「一本ずつ取っていいですよ、お金は私が払います」と言ってアイスを配り始めたのでここでもありがたく頂戴することに。何のアイスなんだろうと思いながら日本のガリガリ君と同じ形状の袋を開けると、ちょっと貧相なミルクキャンディーが入っていました。てかアイスの棒が透けて見える面と見えない面があるんですけど… まあこの際細かいことは気にせず食べて見たんで須賀、かんんんんなり微妙な味でしたねw 不味い、という感じではないんで須賀決しておいしくはなく、水っぽくはないんで須賀ミルクの味がいまいち薄く… いい経験をしましたw そして案の定アイスの棒はズレていたわけで。ちなみにまだ二日酔いが抜けない様子の友人は気分転換のため(?)そのアイスを食べていました。

党創建記念タワーとお昼ご飯

まさにモニュメント

その次に訪れたのは「党創建記念タワー*18」。朝鮮労働党創建50周年を祝して作られたモニュメントで、そこから真西を向くと万寿台の金日成*19がそびえ立っているのが見えます。このモニュメントは外から見ると朝鮮労働党のシンボルマーク*20が、内から見ると革命戦士の絵などが見える筒状の、というか王冠を逆さにしたような形をしています、って言ってもわけ稚内で須賀、恐らくこの日の日本で「今日の平壌」として流されたVTRには映っていたと思います。まぁモニュメントなんてそんなもんでしょうw で、面白いのはここからです。
このタワーの高さは50メートルで直径は42メートル、そしてつなぎ目は216個あるらしいんですけど、これがどういう意味だか分かりますか? なんと(?)これらは全て、党創建50年の「50」と金正日の生年月日の19「42」年「2(月)16(日)」にちなんだものだそうなんですね。いやはやお疲れ様で御座いますw それにしてもそういう数字は言われてみないとわからないわけで、金日成なり金正日を礼賛する施設としてむしろ重要なのはつなぎ目をちょうど216個にするよりも、「将軍様の誕生日にちなんで216のつなぎ目で作りました」と言い張ることなんだろうなぁと思いました。

やっぱり「平壌市民」たるには許可が要る

タワー自体の解説が終わると、しばしの間の自由時間が設けられることに。二日酔いの友人は「アイスにやられたわ」と少しつらそうでしたが、私は心配しながらもBさんと他のツアー客との会話*21に耳を傾けていました。そこでは平壌市民の暮らしぶりみたいな話が中心だったので須賀、一つ気になった発言がありました。
Bさん「住宅は会社ごとに割り振られています。」
私「(ry」
この旅行記を初めから読まれたネ申のような方は気付いたかもしれません。そうです。二日目の注11で言っていた「強力な裏付け発言」とはこのことです。ここで「職場と住居はリンクしていて、北朝鮮の人々の職業は政府が決めている。つまり、誰が平壌に住むのかは政府が決めているのだ」という昨日の私の仮説が補強されたわけです。この発言を聞いた時はちょっと嬉しかったですねwww

ヒル(゜Д゜)ウマー

タワー見学を終えたら、お昼にちょうどいい時間ということで*22食堂に向かいました。今日の昼食はアヒル*23の焼肉です。北朝鮮での来客への最大のおもてなしは犬の肉だそうなので、我々はワンランクダウンということなんですね
、とガイドさんにマジで突っ込むCさんはある意味素晴らしいと思いますwww
あと、ここでついに友人がリバってしまいました… 決め手はミルクキャンディーだったようですorz ちょっwwwおまwww
そんな車中でしたが、無事食堂に着きました(関係ないかw)。で、食べた*24わけで須賀…(゜Д゜)ウマー 何がどう?と細かく聞かれたら少し困ってしまいま須賀、適度にやわらかい噛みごたえがたまりませんでしたね〜 それにしてもさっき吐いたばかりなのにもうお肉を頬張れる友人のタフだこと…

開放的な和式トイレ

なんて言って調子に乗って食べてたらトイレに行きたくなったんですねw 私ホントは和式トイレが苦手なんですけど、この際背に腹痛いってはかえられませんorz ちょっと顔を歪めながらトイレの場所を聞き、入って戸を閉めると…
カギないじゃん
仕方がないので人が近寄る度に咳払いをして、自己の存在をアピールしていましたww ただ海外には自分で水を汲んで流さなきゃいけないのとか、紙がないのとかもあると聞いていたのでまぁマシな方なんでしょう。日本のトイレは恵まれていますねw

外貨ショップでお買い物

食後は外貨ショップでのショッピング。毒茸島*25の切手やら今日見るアリラン*26のパンフレットやらを買ってみました。
…とここで北朝鮮でのお買い物の仕方をご紹介しましょう。まず店に入って、品物を見て何を買うかを選びます。で、それをレジまで持って行きます。まあここまでは日本と大差ないですね。で須賀ここからが違うんです。品物をレジに持って行くと、レジのお姉さんは白い紙に、何ユーロの品物をいくつ買ったかを表す掛け算の数式を二回書いてちぎり、その一方をくれるのです。その紙を今度は違う窓口に持っていって、ユーロを円に換算*27してもらってお金を払い、また最初のレジに戻って品物を受け取る。これで買い物は終わりです。 …一言で言うとめんどくさいですよねw まぁ、そんな感じで私達は買い物をしていましたとさ。

金日成広場と万寿台―「キムニーランド」のシンデレラ城

朝から広場で整列とかするわけないだろ

その次は金日成広場に行きました。特に行事等のない普通の日にここを訪れた人間には、広場だけに広々とした印象を与えるのでしょうが、今日は違いました。なんたってアイドル〜♪今日は労働党創立記念日です。そこにはたいまつ行進*28に参加する学生達がたくさんいました。Aさんの話によると、彼らはそこで朝から待っているんだとか。まぁだれっぷりがそんな感じでしたけどねw 元気のあるグループは噴水のあたりを歩き回って外国人*29を物珍しそうに見たり*30、数人で輪になってしゃべってたり、体育座りのまま居眠りしたり… ですから、日本の学生達からケータイを取り上げて同じ状況においた場合と恐らく大差ない光景だったのだと思います。さっきと同じ■ - かぶとむしアル中にも書きましたけど、「整列」なんかしているはずがありませんから。

金正日も頭が上がらない金日成銅像

しばらく散策してからまたバスに乗り、万寿台という岡の上へ。広場から万寿台までの距離はそこまであるわけではないんで須賀移動はバス。このツアーは総じて短距離移動で不必要にバスを使う傾向がありましたね。それは親切心なのか、それともあちこち勝手に移動されないためなのか… なのですぐバスを降りることになったんで須賀、降りてみると…金日成キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!! 高さ22メートルというその銅像は、開城にあった銅像よりもまた一回り大きかったです。
でも、ここにきたからにはその大きさに感動してばかりもいられないんですね。万寿台の金日成像前に来た者は、っていうか北朝鮮に来た者は、この像に献花をせねばなりません。とはいえツアー客の三十数人全員がいちいち献花をするわけにはいきません。そこで代表を二人選んで献花をしてもらい、残りの人は後ろで一礼することになりました。でもここで頭を下げたら負けだと思っている(24歳・ニート)*31、頭は下げませんでしたけどね。我ながら度胸のあることをしたものですw ちなみに像の前のスペースの一番目立つところに彼の息子・金正日からのひときわ大きな献花がありました。その献花は金正日から父・金日成へのものなので、当然ながら差出人を示すリボンにはたった三文字「김정일*32」とだけ書いてあったんで須賀、今の北朝鮮国内で金正日の名前が、何の敬称も修飾語も伴わずに書かれることが許されるのは恐らくここだけでしょう。

手を挙げると「不敬罪」!?

で、お待ちかねの撮影タイムです。写真撮影は許可なんで須賀、像の前で「主席に対しての礼儀を欠く行為」は絶対にするな*33、だそうで、ガイドさんたちも像の前の観光客達を注意して見ている風でした。そんなわけで私はおとなしくしていたんで須賀、今度は友人が「同じポーズで撮りたい」って言い出したんですねwww 結局ガイドさんの目を盗みつつうまいことタイミングを合わせて撮ったんですけど、あれはちょっとヒヤッとしましたw
万寿台には他にもいくつかの記念碑などがあって、それらもあわせて「万寿台大記念碑」という一大モニュメントを形成しているので須賀、それらの大きさや異様さというものにはあまり心を魅かれませんでした。なにせ世界最大の人物像を見せられた後ですからねw

地上の楽園・「キムニーランド」

話が逸れま須賀、日本に戻ってから「北朝鮮に行ってきた」と言うと、「行けるの?」の次に「どんなところだった?」と聞かれるんですね(当たり前か)。そこで私は大概「平壌はディズニーランドのミッキーマウス金日成に取り替えたような町だったよ」と答えているんで須賀、それを強く思うようになったのはこの辺からだったと思います。街中の看板には金日成の絵か親子のツーショットが描かれ、これだけ金日成を礼賛するモニュメントがあふれる。そして各所に「何年何月何日に偉大なる首領金日成同士がここを訪れました」なんてことが誇らしげに書かれている… それらを見るうちに、ここは金日成のテーマパークじゃないかという気がしてきたのです。それに道端にゴミはほとんどありませんし浮浪者もいませんからもうここはディズニーランドならぬキムニーランドなのではないかとw ただ、自分がここを地上の夢と希望の楽園・ディズニーランドに喩える気になったのは、それだけの理由ではなかったでしょう。なにかこの街に嘘っぽさみたいなものを感じていたからなのだと思います。
平壌ではもちろん例の国営放送を見ることができ、ガイドさん達をはじめとする平壌の人たちは「偉大なる主席の御恩に…」みたいなことを言うわけです。それも真顔で、一切吹き出さずに。でもそれは私達「お客さん」のための「仕事上の」偽装であり、一種のタテマエなんじゃないか、まさかホントにそう思ってはないよね!? という気持ちがなぜか初日から消えないのです。ディズニーランドのドナルドの着ぐるみを着た人がプライベートではそれを脱ぎ、アトラクションの係員が本当にねずみやアヒルがしゃべり出すとは思っていないように、彼らも外国人が帰った後は「いちいち『偉大なる将軍様』とか付け加えるのって疲れるよね〜」とか言っているんじゃないか。そんな「まあこの茶番にもオチがあるんじゃないの?」的印象は結局旅行が終わるまで消えませんでしたし、今もそうです。その理由はきっとディズニーランドがある種の偽装をして作り出している世界と同じくらいかそれ以上に、平壌という街が日本に生まれ、日本に育ってきた自分には異質に映ったからなのでしょう。あるいはその異質さが偽装であるというお互いの暗黙の了解*34がなくして(簡単に言えば、偽装という確証を得られずして)存在していることを、私が俄かには受け入れられなかったからなのかもしれません。はたまた実は皆さん腹の底では(ry それはともかく、私が平壌の街*35やそこの人たちの言動をなにか嘘っぽいと感じたのも、ここをディズニーランドに擬した大きな理由の一つだった気がします。

行事の動員も「結構楽しい」

さてさて、ここの紹介の長い文章*36に反してさして長くなかった見学時間を終え、私達は次の目的地・主体思想塔へと向かいました。その途中でまたたいまつ行進待ちの学生達が溜まっているところを通ったんで須賀、私達がそれをみて思うだろうことを見越してか、Aさんがこう言いました。
「共和国*37では、学生時代に一度もこういった行事に参加しない人はいません。でも彼らにその感想を聞いてみると、『結構楽しい』という反応が返ってくるんですよ」
…確かにそうかもしれません。毎日ダラダラと享楽的な生活を送っている現在の私みたいな人間は、ちょっとやそっとの遊びや浪費では幸せを感じませんが*38、かつての私のような、時間や経済などの制約条件が大きい状況下に置かれている人は、その生活の中でもより楽しいことや嬉しいことを大きな幸せと感じることができます。要は貪り出せばキリがない*39ってことで須賀ここで言いたいのはそこではなくて、平壌の学生達も様々な制約の中で相対的な楽しみをどこかに見つけながら、したたかに生活しているのかなということ。前言ったように平壌に住んでいるということ自体、親が平壌に職を持つことを政府に認められていることを意味する大きなステータスですから、そういう一定以上の暮らしができる家庭であればたいまつ行進やマスゲームといった行事に動員される学生生活の中で、「結構楽しい」ことを見つけながら日々を過ごしていけるというのも分かる気がします。
だからといってそんなイデオロギーかつというより個人崇拝的な洗脳教育が是認されるとは思ってないで須賀。ともかく平壌市民に関しては、もし彼らに危機として差し迫ったものが存在しないのなら*40、「些細なこと」で現体制にわざわざ歯向かう必要はない、と判断しているのかなぁと思いました。歯向かうコストもかなり大きいですし。

主体思想塔と凱旋門―細部の数字まで「凝った」設計

熱烈に歓迎キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!

…そんなことを考えている間にもう着いたようです。この主体思想塔は1982年に建立された高さ170メートルの石塔*41で、主体思想(「チュチェ思想」ですからw)を象徴している、んだとか。さっき言い忘れましたが金日成広場の近くに「人民大学習堂」という名の図書館*42が鎮座してるんですけど、この塔がその図書館の川を隔てて真向かいにあるのは「主体思想塔を眺めながら学習堂で勉強すれば、勉学もはかどるのではないか」という偉大なる金正日将軍様(確か)のありがたいご配慮あってのことらしいですよ。いやはや。
そんな鳴り物入りの(?)モニュメントだけあって、さぞ曰くの多い観光地なんだろうと少し期待しながらバスを降り、日本語もしゃべれるという主体塔専属のガイドさん*43の第一声に耳を傾けました。
ツアー客「…」
塔ガイド「この主体思想塔を見学にいらっしゃった皆さんを熱烈に歓迎します」
ツアー客「(ry」
熱烈歓迎いただきました〜www 三日目にして初めて熱烈に歓迎してもらうことができてとても嬉しかったですw

またも「ちなみ」尽くし

冗談はこれくらいにしておきましょうw そこで彼女からこの塔の概要を説明してもらったんで須賀、その過程でこの塔も「ちなみ」まくりのすさまじいモニュメントであることが判明したのです。まずこの塔は金日成の生誕70年にちなんで四面合わせて70段*44の段があり、その日までに金日成が生きた日数と同じ25500余枚の花崗岩でできているそうです。そしてその傍らにある詩は金日成の生年月日1912年4月15日にちなんだ12連構成で、石版の高さは4メートル、横幅15メートルになっているとか。もう「アッー」としか言いようがないですねw 詩の連の数とかはまだ数えられますけど、使った花崗岩の数とか確かめようがないですから。さっきも言いましたけど、ここはもう言ったもん勝ちですね。実際問題花崗岩の数を合わせること自体に意味があるんじゃなくて、「これまでに主席の過ごされた日数にちなんで作りました」と言い張ることが金日成個人への崇拝の確立強化(いわば神格化)のためには重要なのです。
塔専属ガイドさんからのありがたいお話が一通り終わった後、お土産のバッジを買って塔の上に昇りました。もちろんエレベーターでw 170メートルの石塔の高さ150メートルのところまで昇れるんで須賀、結構時間がかかりましたね〜 てか降りるようなところは高さ150メートルの展望台しかないはずなのに地上が一階で展望台が五階ってのはこれ如何。エレベーターに二階から四階までしっかりボタンがあったので、なおさら気になります。国が国だけに変な勘繰りを入れたいのは山々なんで須賀、そういう国だからこそ「わかりません」とと言うことにします。ちなみにエレベーターガールの返事は「何もないです。降りられません」

150メートルからのパノラマ

展望台からの景色はなかなかステキでした。高さ150メートルの展望台から平壌市街地を一望です。ただ街並みをよく見ると、やはりエリア分けはしっかりなされているようでした。そもそも街の開発・拡張と年号がセットになって語られるところですからね。社会主義お得意の「○ヶ年計画」で、街づくりも行なわれているのでしょう。
あと塔には引っ掻いたような落書きも結構ありました。こういう国だからそんなものは全部消して、書いた不届きものを全員炭鉱送りにするのかと思いきや、そうでもないみたいです。大体の落書きは消されずに残っていました。ただ書いた人間がどうなったのかまでは分かりませんが。ちなみに、その落書きがほとんどハングルだったことから考えると、下手人(藁)は現地の人たちなのでしょう。鎌倉の大仏も結構な落書きですけど、こういうでっかいものというか権威的なものに対して落書きしてやりたいという庶民の感情は恐らく万国共通ですね。

「国交正常化」ってヲレに言われてもw

そこでも、既にツアー客のアイドルの地位を確立したガイドのBさんから、いくつか面白い話を聞くことができました。まず彼女が教えてくれたのは、これらの大型モニュメントの多くは80年代に建設された、ということです。北朝鮮で80年代というと、金正日金日成の後継者として政治の表舞台で活動し始めた時期です。そしてこのモニュメント建設事業も彼の指揮による*45ものだそうなんで須賀、ここからは父を絶対化・神格化することで自分の言わば「神の子」としての権威をも高めようという意図が見え隠れしているのでしょうし、70年前後を境に韓国に経済的優位を明け渡し、いよいよ経済格差が広がってゆくことへの焦りでもあるのでしょう。いずれにせよ、国家経済が苦しくなりつつある時期にこのような経済的効果のほとんどない分野に投資をした(あるいはせざるを得なかった)のは、まさに皮肉なことだと感じました。
その後も彼女は塔の上から見える平壌の街並みを解説していました。それが一段落ついたところで私の質問。
私「ところでBさんの家はどの辺ですか?」
Bさん「あの辺です、統一通り(確か)にあるマンションに両親と住んでいます」
私「今度遊びに行きますw」
Bさん「そのためには国交の正常化が必要ですね。国交の正常化ができるようによろしくお願いします」
私「(笑)」
日朝平壌宣言後の交渉がうまくいかなかったのは、日本の世論の動向を読み間違ったから*46だと気付いてのことでしょうか、このセリフはよく聞かれましたね(とくにBさん)。とはいえ、「まず正常化ありき」とは私もさすがに言いませんwww 日本政府は「国交正常化」というカードをうまく利用して、核問題・拉致問題*47の好転を勝ち取って欲しいと思っています。それでも正常化に向けた努力はお互いにしていってほしいですね、早くBさんの家に遊びに行けるようにwww

大きな凱旋門もくぐる者少なく…

しばらくして塔を降り、また例のお土産屋さんで平壌の観光地図を買ってから、ツアーの一行は主体思想塔を離れました。次なる目的地は凱旋門平壌市内観光最後の観光スポットです。この凱旋門は、高さが60メートルと本家フランスのそれより10メートル高いのが自慢なのだとのこと。早速バスを降りて現地ガイドさんの話(正確に言えばBさんの訳)を聞いてみると…
Bさん「このモザイク画*48は祖国解放後に平壌に凱旋した金日成主席の演説の様子を描いています。その演説の日付にちなんでこのモザイク画の高さは10.14メートル、横幅は45メートルになっています」
…もうわかったからw 幸いにして(?)ここは違いましたけど、この旅行で金日成金正日の生年月日は完璧に覚えましたが何か。まぁあちらさんとしては偉大なる主席様と将軍様の生年月日を反動国家のガキに植えつけることができたというのはある意味勝利なのでしょう。。。
凱旋門自体はなかなか立派なものでした。だからというだけでもないんでしょうが、その門を撮影しようと何人か*49が歩道を必死に前後していると、思わぬ助け舟が出ました。
Aさん「車道から撮ってもかまいません。ただ車にはお気をつけくださいませ」
ツアー客「(ry」
確かにAさんの言うことは合理的でしたね、車道に車なんかほとんど走っていませんでしたからwww

平壌神戸市交通局の管轄下!?

そんなわけで一通り凱旋門を撮り終わった後、どこからともなく出た「交通整理の女性*50を撮りたい」というリクエストによりまたまた撮影タイムが設けられることに。せっかくなので私もスケベ野郎ども優秀なカメラマン達からなる婦人警官撮影隊に紛れ込み、近くからその様子を伺ったんで須賀、やっぱりかわいいとは(ry ホテルの店員さんの方がずっと美人で宇和何をするくぁwせdrftgy>>1の彼女lp;@:「」
そんな感じだったので途中までは結構徒労感に包まれていたんで須賀、「神戸市交通局」と書かれた古いバスを見かけてそれも吹っ飛びましたねww あれはどういう経緯で平壌を走るようになったのでしょうか。っていうか文字だけでも消せばいいのに…
これをもって、平壌名所の観光はおしまいとあいなります。これからホテルに戻って、いよいよ本日のメインディッシュ・アリラン祭公演です。

メインイベント(?)・アリラン

店員さん笑わないで(はぁと

ホテル到着から出発まで時間があったので、ホテルのお土産物屋さんで北朝鮮バッジを大量に買い込むことにしました。普通に十数個とか大人買いしたんで須賀、店員のおばさんは何を思いながら売るための作業をしたのでしょうか…無表情だっただけに怖いですねw
その一方満面の笑みで私達を迎えてくれたのは例の店員さん。てか前日に酔って絡んだから笑ってただけっぽいですけどwww ホントは人の顔を見るなり笑い出すとか(ryって感じで須賀、かわいいから許す。もうぬるぽって感じですね、すいませんw
そうこうしているうちに出発の時間になりました。これからこのツアー旅行の最大のハイライトになるだろう、アリラン祭の公演です。さあ、いざ会場のメーデースタジアムへ!! …とその前に、腹ごしらえに食堂に行くことに。

家庭料理とカラオケ大会

ホテルを出た一行が向かったのは、市内の小さな食堂でした。なんでもそこは北朝鮮の家庭料理のお店で、実際に平壌市民も来ることがあるんだそうです。家庭料理とあって出てきたのはポテトサラダ的なもの*51や焼き魚的なもの*52で、あまり印象的なものではなかったんで須賀(おいしかったですけれど)、突如として始まったカラオケ大会は忘れられませんねww ウェイトレスの人たちが代わる代わる歌っていたんですけど、その実力と「パンガスムニダ」という歌*53の繰り返されっぷりには圧巻でしたね〜 友人はその中の一人がキレイだと言って目を見張っていましたが、私は歌う彼女たちには大して目もくれませんでした。そして、密かに心に誓ったのです。
きっとホテルの売店のあの子と写真を撮ろう、それがこのカメラのラスト・ショットだ…
アッア〜〜〜〜〜〜〜

スタジアム前で市民にからむも…

平壌での最後の晩餐の後はいよいよアリラン祭です。7時前に会場のメーデースタジアムに到着し、30分弱の自由行動が許されました。そこには私達と同じくアリラン祭を見ようと集まった北朝鮮の一般市民がかなりの数集まって、彼らのためにちょっとした飲食物を売る出店も出て…というお祭りのような*54、外国人を放つには不都合づくめな光景が広がっていた*55のでちょっと驚きましたね。まぁ党のおじさんがあちこちで目を光らせていたので迂闊なことをすると(ry な危険性はあったわけで須賀。といいつつまたもや子供にチョコをあげようとしていた*56友人はある意味偉大だと思いますwww

前座―観客席マスゲーム

そして程なく再集合の時間に。そこで席のランク毎の入場券を配られ、ついに入場です。ゲートで券を見せて中に通され、自分の席を探しながらスタジアム内に入ると…
超満員ですか?
向かい側の席が完全に埋まっている。しかもみんな同じような格好だ。ホントにこいつら観客? …ハイ、違いましたww 彼らは観客席の片側半分に陣取って、まさにマスゲームを演じようとしていたのです。そして私が着席するやいなや、それは始まりました。突然かかった「ヤァー」という掛け声と共に一つの巨大な絵が目の前に現れる。それが成ったかと思うとまた変わる。何度かそれが繰り返されると、お次はうまく時間差を使った技*57…と観客をひきつけます。その技には結構見入ってしまったので須賀、観客席でのマスゲームのバリエーションは残念ながら(?)そこまでのようで、最後の方は少し退屈でしたねw

ついに真打ち!ところが…

すると突然、自分の席からそう遠くないスピーカーから爆音が放たれました。時刻はちょうど午後8時。そうです。ついにスタジアムのグラウンドにおける、メインのマスゲームが幕を開けたのです。カンカンと鳴り響く音楽と、一糸乱さず踊るグラウンドの出演者たち。それはちょうど、前日に見た学生少年宮殿での公演を何倍にも大きくしたようなステージでした…



ん?
今何時? 9時ってまさか…
ヲレ寝てた???
…なんと私は休みなく爆音を吐き続けるスピーカーからそう遠くないところで、あろうことか居眠りをしていたのですwww 長旅の疲れが出たのは明らかで須賀、それはマスゲームが単調だったからか、それともその奏でる音楽と踊りが癒し系だったからか、についてはコメントを控えさせていただきますw 友人は隣で居眠りを始めた私を面白がって証拠写真を撮ってましたが、彼も双眼鏡で軍服のきれいなお姉さんのパンチラを狙っていた*58そうなので同じようなもんですかねw とにかく、一時間半弱やり続けるのにはちょっと単調、というのは感じました*59。そして開ききらない両目で大道芸と締めの踊りを見ていると、もう退場するとのこと。出口で混雑に巻き込まれないようにという配慮でもあるんでしょうが、余韻もへったくれもなかったですね、、、って寝てた奴の言うことじゃないか orz

え、テレビですか?

まだごった返す前のゲートをくぐって退場すると、Cさんがホームビデオカメラを向けて、アリラン祭の感想を聞いてきました。って彼女はなんでそんなことをしているのかというと…
ちょっと時間はさかのぼります。スタジアムに着いて、一旦自由行動になった私達二人にCさんはこう切り出しだした。
Cさん「あのね、ここだけの話*60なんやけど私テレビ局の人間なのよ。」
私達「(ry」
Cさん「でね、公演と帰国の後に色々感想聞きたいんだけど、いい?」
私達「いいですよ〜」
そんなわけで、これはテレビのインタビューなんですね。「すごかった、すごかった」の連呼の中で*61ただ一人居眠りを告白するのはちょっときまりが悪かったで須賀、まぁ事実は事実ですから(開き直り)。そういう感想をも*62汲んでいってくれれば、というか汲んでいけるようなマスコミであれば、北朝鮮に対するゆがんだイメージがここまで助長され、そして拉致や核といったいわゆる北朝鮮をめぐる諸問題のソフトランディングを主張する論者たちへの、不必要なバッシングや人身攻撃*63が当然のように行なわれる「異様な言説空間」*64が国内をこうまでも支配するようなことは起こらなかったような気が私にはするのです。ってちょっと大げさすぎる話で須賀(藁)、多数派のトレンドを大々的に報じていくと、それと異なる意見や性質を持つ人々に対してそれに関する発言を避けさせるベクトルが働きますからね。そうしてノエル・ノイマンの言う「沈黙の螺旋」が形成される*65わけで。いずれにせよ、どういう扱いになるかは見てのお楽しみ、と言うことにならざるを得ないのでしょう*66

感想らしきもの

そんなわけでアリラン祭公演はこれにて糸冬です。でもせっかくなので、それを寝て見て考えたことについていくつか書いていこうと思います。まず観客席での「人絵」とでも言うべきマスゲームについてなんで須賀、これに対しては「その名の通りの『マス』が一糸乱さずやっているんだ」というリアリティを感じることはあまりありませんでしたね。私はそれこそ目の前に巨大スクリーンがあって、それがマスゲーム風に画面を切り替えているかのような感覚で眺めていました。ですからマスゲームを見たらその全体主義的な様子に戦慄してしまうのではないか、という私の事前の予想は見事に外れたんで須賀、それはやはり彼らの技術が高かったことや、「スクリーン」がそれを構成する人を確認できるほど近くになかったことによるのでしょう。それにしても私がそういう受け止め方をしたということは、あちらとして成功なのか失敗なのか*67…気になるところです。ちなみにグラウンドでのマスゲームというか踊りは、昨日の学生少年宮殿で見た公演の相似形以上には感じられなかったので、ここで更に付け加えるべき感想はありません。
あともう一つはそこで発せられていた(と思われる)メッセージについてです。「祖国は一つ」やら、南からのお客さんに拍手が巻き起こって統一旗が盛んに振られたりやらと、ここでも「朝鮮半島の統一」というものが大々的に訴えられているようでした。で須賀昨日も言った通り、北朝鮮政府はそのためにどのくらいの努力をしているのか、そしてする気があるのか、ということについては考えざるを得ませんでした。統一は大いに結構なこと*68です。ただ、というかだからこそ、それを実現するための更なる努力を両者に期待したいと思います。ちなみにDさんは北に対して更に辛辣で、「口先だけで統一を言って、北を取り巻く他の問題から市民の目を逸らさせ、かつ求心力を維持しようというのは姑息だ」なんて言っていましたが確かにその側面もある気がしました。

平壌最後の夜―著者、ホテルで最後っ屁!?

美人には三日にしてフられる!?

帰りのバスでは、添乗員さん*69とAさんから早くも最後っぽいお言葉を賜りました。そういえば明日帰るんですね。正直もう一日くらいいたかったなぁ*70。と思ってるうちにホテルに到着。そして平壌最後の大仕事(?)にとりかかったわけです…
部屋に戻って荷物を置くと、お土産物屋さんに直行しました。そして友人にカメラの準備をお願いして*71、例の店員さんにこう切り出したのです。
私「一緒に写真を撮りませんか」
朝鮮語なのかなんなのかっていう言語で話しかけたんで須賀、一応通じたようですw
店員さん「아닙니다*72
私「(ry」
いやここで拒否が出るとは思いませんでしたorzorzorzorzo(ry しかもそんな困ったような顔で言われるとこっちとしても粘りようがなかったんで須賀もう一押し。
私「明日日本に帰るんですよ、だから…」
店員さん「아닙니다*73
私「アッーーーー」
もうフられた気分ですね(泣) 友人はとりあえず撮っちゃおうみたいな構えを見せていましたが、無理に撮ると彼女の肖像権や私達の身体の自由(藁)に差支えが出る(出うる)こと、そして何よりもそれが私の本意ではないことを考えてあきらめました。それにしても付き合ってくれた友人には感謝です。まぁそんなわけで北朝鮮一の美女*74と一緒に写真におさまることはできませんでした。それにしても彼女が別れ際に言っていた片言の「サヨナラ、サヨナラ」が身にしみましたね。もちろん多少なりとも思い入れのあった*75相手だったからということもあるのでしょうが、この国は確かに閉鎖的で日本との政治的関係は極めて悪い…という状況を鑑みれば、恐らくこの人と二度と会うことはないだろう、という思いが大きかった気がします。

同じ本を大人買いってwww

しかしそんなことで挫けるわけにはいきません。今がお土産を買うラストチャンス、と奮起してホテルの書店に向かいました。とりあえず『金正日略伝』なる本を買ってキム親子の伝記(?)を買い揃えた*76私は、友人や他のツアー客と話しながら店内を物色していると、こんなステキなものを発見しました。
『日本当局の歴史教科書改ざんの真相』
もう買うしかありませんwww しかもこれ、本といってもファミコンの説明書みたいな大きさと厚さだったので*77思わず大量購入してしまいました。一緒にいた人たちに紹介したあとに残り4〜5冊を全部大人買いですww ちなみにそのとき店員のおばさんが怒ったふりして笑ってるみたいな表情をしてたんで須賀、一体どういう認識&気持ちだったのか気になりましたね。

最後の夜はやはり酒w

その後は自室で友人と飲みながら話していました。北朝鮮の話もそうでない話もしましたが、明日が早い*78とあって1時過ぎには就寝。
これにて三日目終わりです。いやもう疲れたってwww

*1:東京オリンピックの開催日ですね

*2:どの?

*3:ここ重要。無論この日に私が見た平壌がより「素顔」に近い平壌だ、なんてわけのわからないことを言い張るつもりはありませんし、実際問題私達はこの日の平壌の重要な一面を見逃して(伏せられて)しまっています。ただ、日本で流れたこの日の平壌も事実の一側面であると同時に私が見てきたこの日の平壌もまたそうであり、どちらも少なくともそれだけでは「真実」や「素顔」たりえないこと、そして自分がこの日の平壌について発信できる数少ない人間の一人であることを鑑みれば、この場で私がマスコミの報じたこの日の平壌に対するアンチテーゼ(と言っても意識して対抗的なスタンスで書こうとは思っていませんが)を示すことには一定の価値と責任があるのかな、と思い上がっているわけですw

*4:朝鮮語で「時間がありません」

*5:何って言ったかあんまり分かんなかったんですけど恐らく「座って待っていてください」あたり

*6:朝鮮語で「時間がありません」

*7:何って言ったかあんまり分かんなかったんですけど恐らく「座って待っていてください」あたり

*8:万の景色が見える…みたいな意味だそうで

*9:しつこいようだが手づかみ

*10:ほとんど全員が「熱烈な革命家」だったそうですw

*11:これがホントの金メダルwww

*12:千里馬運動から命名されたんでしょう。ちなみに駅名なんかも地名とは関係ないですからねw

*13:私達は観光客として通されたので

*14:建物の基礎部分を避けるためにそんなに深く掘ったらしいんで須賀それにしても深いですよね。あるいは平壌には秘密の地下施設がたくさん…宇和なにをするくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」

*15:ホントは「平壌市民はエスカレーターで右に立つのか左に立つのか」という命題に結構興味があったりしたんで須賀、この長さのエスカレーターでは判断できませんね orz

*16:一説によると、豪華なホームはこの二駅だけなんだそうです

*17:座布団10枚

*18:さっき変換したら「逃走券記念タワー」って出たw

*19:皆さんが日本で目にする金日成像はおそらくこれでしょう。詳しくは後述します。

*20:赤地に黄色い鍬・ハンマー・ペンが一つに交わったマークで、党創建60年の式典が近かったからなのかどうかは分かりませんが初日から町のあちこちに見られました。「農民と労働者、そしてインテリが協力してこそよい国が作れる」という意味がこめられているそうです

*21:板門店マンセーコールをしていたCさんが中心でした

*22:まぁ計算通りなんでしょうけど

*23:アイガモ農法に使われたアヒルなんだとか。Aさん、確かにそうなんだけど「まさに一石二鳥」って(ry

*24:食べ方は基本的に日本と変わりません。日本でも野菜に包んだりしますよね!?

*25:日本では竹島、韓国では独島と呼ばれる島の名前をこのブログではこう表記しています、めんどくさいので

*26:この時期北朝鮮が大々的にやっていたマスゲームです

*27:このレートはまちまちでしたね、1ユーロ=130〜170円みたいな

*28:学生達がたいまつを持って広場を行進するイベントです。日本ではその模様が流れたと聞いていま須賀、現地のツアー客は見ることができませんでした。■ - かぶとむしアル中にあるように恐らく外国人に生では見せないという意図が働いていたように思います。Cさんがしつこく要求したらBさんちょっとキレたしwww これは昼前後にあった閲兵式についても同様のようです

*29:私達のことです

*30:そういう視線は意外と少なかったんで須賀

*31:頭を下げるポジティブな理由が存在しなかったことと、有無を言わせずやれと言われたことが不愉快だったこと、そしてこれまで日本である意味で植えつけられていた北朝鮮に対するマイナスイメージが湧き上がってきたことがその主な理由です。確かに金日成の政治手法や人権に対する態度を考えれば礼を拒むに十分だと思いま須賀、残念ながらその時私の脳裏に浮かんだのはそれらではなく、漠然としたマイナスイメージだったことは認めざるをえません

*32:ハングルで「金正日

*33:特に像と同じポーズで写真を撮ったりすると怒られるんだとか

*34:ディズニーランドではその暗黙の了解はありますよね

*35:そんな印象を受けていたので「マンション」と紹介された建物にも誰も住んでいない気がしましたし、寿司詰めの路面電車の乗客もサクラじゃないのかと思いもしました

*36:すみませんね、引っ込みがつかなくなってしまってorz

*37:しつこいようだが北朝鮮

*38:むしろ感じることができないんでしょうねorz

*39:自分で書いて自分で傷つきましたorz

*40:もちろんこれは仮定の話です。「平壌に住めるというステータス」だけでは論拠として弱いのはさすがに承知していますwww

*41:石塔としては世界最大

*42:形は宮殿。見たときの第一印象は「緑がかった紫禁城」でしたw

*43:他では板門店の時のように、現地ガイドの朝鮮語をガイドのBさんが訳す形での説明でした。

*44:イメージとしてはピラミッドを極限まで細くして塔にしたような形です

*45:1972年に作られた万寿台のモニュメントも彼の指揮だそうです。でも自分のどでかい銅像を見た金日成は「なんで金じゃなくて銅なんだ」と言ったとか言わなかったとか…

*46:っていうか北朝鮮側が外交における世論の威力そのものを理解していなかった可能性はありますよね、あちらは自国の世論に配慮した決定をする(流す情報の選択と操作は必要なんでしょうが)必要はありませんから

*47:よく「拉致問題の解決」って言われますけど、「誰々さんが死んだ」ということを日朝双方が確認することが極めて難しい現状で、何を「解決」とすべきかは難しい問題だと思います。ちなみに拉致被害者の中で特定の誰が死んでいる生きている、ということを言いたいんじゃありませんのでそこはご理解下さい。。。

*48:例によって例のごとく門の傍らにあったものですw

*49:この頃カメラの残り枚数が1枚となっていた私はここに含まれません orz

*50:先述の通り平壌では信号機が機能していないので、婦人警官による手信号で交通整理が行なわれています。そして彼女らはなぜか日本のツアー客のウケがいいんですね。そこまでクォリティーが高いわけでは(ry

*51:そのものではない

*52:そのものではない

*53:前日のカラオケでも何回か聞いたんですよね、、、 ちなみに「パンガスムニダ」は朝鮮語で「お会いできて嬉しいです」という意味で、決して「パンが住みます」ではありません

*54:まぁお祭りなんで須賀

*55:言うまでもなく北朝鮮当局は、外国人と一般市民の接触を非常に警戒しています

*56:私が朝鮮語で「どうぞ受け取ってください」と添えたんですけど、普通に怪訝そうな顔でスルーされましたね。ここにきて昨日の平壌駅前でのFさんの口添えの威力を実感しました…

*57:全体としては一部の黒いラインがペンキのはけのような役割をして、通ったところを次の絵に塗り替えていっているように見せる技法です

*58:見えたそうですよwww

*59:金丸信はよくこんなもので(ry

*60:実はこのツアーは「マスコミ関係者・国家公務員お断り」なんです、マスコミ向けのツアーは別枠であるそうで須賀…

*61:他にも何人か答えてました

*62:ただバランス感覚を欠いた取り上げ方をするのも考えものです

*63:北朝鮮の回し者」姜尚中なんかはこの好例でしょう

*64:彼の怒りの叫びですwww

*65:ただ、そんな「浮く」行為をを自らのアイデンティファイのためにあえてする、というベクトルとの比較考量は必要だと思います

*66:それを望ましいとか自然なことだとは思いませんが

*67:「人民の団結」の成果として精緻なマスゲームがある一方で、少なくともこの日の私に関してはそれ故に、「人民の団結」のリアリティが損なわれているわけです

*68:アメリカの世界戦略的には不利なんでしょうがそんなことはどうでもいいです

*69:つまり社長

*70:もちろん川に飛び込む覚悟もつもりもない

*71:私のカメラのラスト・ショットはカバンの中での誤写でしたorz

*72:NO、ですね

*73:NO、ですね

*74:もちろん主観

*75:一応断っておきま須賀「多少」ですのでwww

*76:金日成のは一日目に買いました

*77:しかも一冊70円w

*78:4時モーニングコールとかもうぬるぽ